森保ジャパン次のテーマは大迫依存脱却…そのカギを握る選手とは?
もともとシュートのうまさはサガン鳥栖時代から定評があった。フランクフルトでも「練習ではトップ3に入るくらい点を取っていた」と話すが、サイドアタッカーと見なされ、持ち味をなかなか発揮できなかった。 だが、シント=トロイデンでは主にシャドーやトップ下、2トップの一角とピッチの中央やゴール近くで起用され、ペナルティエリア内に入る機会が増えた。 加えて、危機感がより一層、結果へのこだわりを強めている。鎌田が言う。 「ベルギーで1年間活躍した選手の中で、わずか数人だけが4大リーグにステップアップできるレベルだと思うんですよ。その中で僕は、言い方は悪いですけど、4大リーグから下に落ちてきた。そうした人間が再び上に行くには、結果が必要になってくる。僕は4大リーグに戻りたい。これ以上もう、下はない。ここでダメだったら、Jリーグに戻るしかなくなる。それくらいの覚悟でいる」 力強いドリブル突破と柔らかいボールキープも魅力で、剛柔両方を併せ持っている点も大迫と共通するものがある。 一方、決定的に違うのは、大迫がストライカーとしてのこだわりが強いのに対し、鎌田は「僕の魅力は“中盤の選手の割に”得点力があること」、「インサイドハーフを極めたい」と語っている点だ。 それゆえ、1トップでの起用は鎌田にとって不本意かもしれないが、そもそも大迫は最前線でどっしり構えているわけではない。イラン戦を思い出してほしい。中盤まで降りてきてボールを受けて、2列目が飛び出すためのスペースやサイドバックが攻撃参加するために時間を作る。こうして今度はゴール前に入っていく――。 さながら、かつてローマが中盤の王様だったフランチェスコ・トッティを最前線で起用した「ゼロトップ」のようだ。奪ったボールをトッティに預け、2列目がトッティを追い越してゴール前になだれこむ。トッティが大迫であり、まさに鎌田というわけだ。 試してほしいと書いたが、おそらく森保一監督もそのつもりでいるはずだ。実は、ベネズエラ、キルギスと対戦した昨年11月シリーズで招集レターをクラブに送っている。最終的には招集は見送られたが、森保監督が考えるラージグループの中には、すでに鎌田は入っているのだ。 あとは、いつ呼ぶか。カタール・ワールドカップに向けた最初のステップであるアジアカップを終えた今こそ、最高のタイミングだろう。コロンビア、ボリビアと対戦する3月のキリンチャレンジカップのメンバーの中に、鎌田大地の名前があってもおかしくないだろう。ハイレベルのポジション争いと、新戦力の発掘がチーム力を高めるのは言うまでもない。 (文責・飯尾篤史/スポーツライター)