「宝塚ベルばら四天王」榛名由梨×安奈淳 初演から50年『ベルサイユのばら』「怖いお手紙をもらったことも…」「警察官に両側から腕を掴まれ…」
〈発売中の『婦人公論』5月号から記事を先出し!〉 宝塚歌劇の金字塔とも言える『ベルサイユのばら』は初演からちょうど50年。日本中の老若男女を熱狂させ、社会現象を巻き起こした同作は、現在に至るまで繰り返し上演されている。その黎明期に一大ブームを生み出した「ベルばら四天王」のうちの二人、榛名由梨さんと安奈淳さんが〈あの日々〉を振り返った(構成=上田恵子) 【写真】『ベルばら45』のステージで歌う安奈さん * * * * * * * ◆『ベルサイユのばら』初演当時の熱狂 榛名 『ベルサイユのばら(以下、ベルばら)』が、宝塚歌劇で初めて上演されたのは1974年のこと。当時のことは今でも鮮明に覚えています。私は20代の終わりで、オスカルを演じました。あれからもう、50年もたつのねえ。 安奈 本当に、あっという間ですね。 榛名 初演時の演出を担当なさったのは、俳優の長谷川一夫先生。脚本は宝塚歌劇団の植田紳爾先生が書いてくださいました。 最初の頃は池田理代子先生の原作漫画のファンの方からの反発が強くて、上演を疑問視する声もありました。漫画の登場人物を、生身の人間が演じることに抵抗を感じる方が多かったのね。抗議の投書も歌劇団に届いていたそうです。 私はオスカル役だったばっかりに、怖いこと書かれたお手紙もらったわ。(笑)
安奈 私が初めて『ベルばら』の舞台に立ったのは翌75年。私はオスカルを、榛名さんがアンドレを演じました。再演ということで呑気に構えていましたが、それでもそういったお手紙をもらったりして、母がすごく心配していた記憶があります。 榛名 それだけたくさんの方が注目していたということよね。 安奈 本当に。オスカルは普段は男装の麗人なんですが、途中で一度だけ女性の格好をして舞踏会で踊るシーンがあったんです。舞台初日、そのお姫様のようなドレスを着て花道から出て行った瞬間、「うおおぉ……」という、これまで聞いたこともない地鳴りのような声が超満員の劇場に広がって。 その時に初めて、「私はすごい舞台に立っているんだ」という自覚を持ったんです。あれはゾクッとしましたね。 榛名 初演ではマリー・アントワネットが中心で、再演ではオスカルとアンドレがフォーカスされ、熱狂がより高まったのね。ファンの年齢層も一気に広がって、小学生までもが来場するようになった。楽屋口では毎回、ファンの方がわんさか待っていました。 安奈 私など、警察官に両側から腕を掴まれた格好で劇場の外へ出て行きましたよ。私をガードしてくださっていたのですが、どう見ても犯人の連行。(笑) 榛名 東京で上演した時は、危ないからと楽屋口から先輩と一緒にタクシーに乗せられて、寮まで強制送還。本当にすごい盛り上がりでした。
【関連記事】
- 宝塚『ベルサイユのばら』初演から50年!初代と2代目オスカル、榛名由梨と安奈淳が語る「母に榛名さんが死に化粧を」「3日違いで救急車で運ばれて…」
- 池田理代子『ベルサイユのばら』50年の誕生秘話。原稿料は男性の半分、「悪書」と目の敵に。逆風の中支えてくれたモハメド・アリの言葉とは
- 安奈淳「難病・全身性エリテマトーデスの発症で始めた《持たない暮らし》白髪は染めず、服は同じものを買い直して。限られた時間を楽しく過ごす」
- 宝塚の象徴『ベルばら』。元ジェンヌ「ブイエ将軍」が池田理代子先生の『ベルサイユのばら展―ベルばらは永遠に―』に行ってみた
- 宝塚卒業後の人生 CHIHARU 「男役からヘアー&メイクアップアーティストの道へ〈わたし、宝塚になる!〉と宣言、中3で合格してタカラジェンヌに」