「宝塚ベルばら四天王」榛名由梨×安奈淳 初演から50年『ベルサイユのばら』「怖いお手紙をもらったことも…」「警察官に両側から腕を掴まれ…」
◆宝塚の夢の世界にいざなう要素が満載 安奈 私、自分が舞台で演るまで、『ベルばら』の原作を読んでいなかったんです。それで実際に読んでみたらものすごく面白くて! 池田理代子先生を心からリスペクトして、原作の大ファンになってしまいました。自分が演じることも忘れ、あの世界観にどっぷり浸っていましたね。 榛名 物語の背景にフランス革命があるのも素晴らしいのよね。現実にあった話を下敷きに、オスカルやアンドレという実在しない人物が登場して。女性が男性を演じるのも宝塚にピッタリでした。 軍人がカッコいい軍服を着て、マリー・アントワネットのゴージャスな衣裳があって……。ロマンチックな夢の世界にいざなってくれる要素が満載なんですもの。 安奈 私もフランス革命に興味を持って、あれこれ文献を読みました。なかでも遠藤周作先生がお書きになった『王妃マリー・アントワネット』という小説がものすごく面白かった。たかだか200年ちょっと前の話ということがすごく不思議に思えましたし、その中の役を演れたことに運命を感じました。 榛名 舞台のヒットの理由は、ひとつではないわね。
安奈 そうですね。演出が長谷川一夫さんということも大きかったと思います。これまで宝塚を観たことがない方がいらっしゃるようになった。 ファンのおばさまたちが「演出」を「出演」と間違えて、「今日、長谷川一夫出てへんかったな?」と首を傾げながら帰って行った、という話を聞きました(笑)。時には修学旅行の生徒も来ましたね。 榛名 そうそう! 安奈 榛名さん演じるアンドレとのラブシーンがあると、修学旅行生がいる3階席からどよめきと笑い声が聞こえるんです。男の子たちは普段そんなものを見る機会がないから、照れちゃうのね。(笑) 榛名 聞こえたわねえ(笑)。人気が広がった理由としては、原作ファンの方が舞台も面白いと感じてくださったこと、そしてNHKが舞台中継したのも大きかったと思う。地方に住む方など、そこで初めて宝塚を観た人も多かったんじゃないかしら。 安奈 以前は中継と言っても、関西テレビでやるくらいでしたものね。八千草薫さんがナレーションを務められて。宝塚地区だけでやっていたら、ここまでは広がらなかったかもしれません。 (構成=上田恵子)
榛名由梨,安奈淳
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