上野で始まるジンギスカンバトル! 定番からマニアックな部位まで「小仔羊」、名店「羊香味坊」、札幌から東京出店「だるま」
【肉道場入門!】絶品必食編 先週の小欄で「羊の季節がやってきた」と紹介したが、近年では羊肉が気軽に食べられる店が増えてきた。リーズナブルに羊の超希少部位にもありつける東京の上野御徒町にある「小仔羊(ココヒツジ)」などは羊初心者から上級者まで、さまざまな楽しみ方ができる。 ドーム型の鉄板で野菜とともに羊肉を焼く「成吉思汗(ジンギスカン)」は、食べ放題が約3950円、2時間飲み放題をつけても5050円で酒池肉林を味わうことができる。 もっともこの店に実はそうした〝放題〟系メニューからは想像できないほど、さまざまな部位…なかにはマニアックな部位までもが用意されている。 ショルダーやもも、肩ロースにラムチョップなどの定番部位は当然のように勢ぞろい。 その他、タン、レバー、ハツなど焼肉店のような部位があるかと思えば、ラムまめ(腎臓)や睾丸など、通常ありつけないような部位まである。 下味を入れないので肉の素直な味がわかり、ほんのり甘じょっぱい醤油ベースのつけダレの塩梅も北海道の一般的なジンギスカンよりも上品な仕上がり。加えて、卓上のあまり辛くない唐辛子ベースのクミンスパイスを添えると、食べても食べても食べ飽きない。 うれしいのが「小腹が空いた」ようなときでも肉の単品が1000円前後で注文できたり、ラム肉三点盛り合わせ(もも、ショルダー、カルビ+野菜盛り合わせ)は2900円、そこにロースを加えた四点盛り合わせ(ふたり人気セット)は3879円という気安い価格。二人で小腹を満たすもよし、一人で肉でお腹をふくれさせるもよし。その他、ラムソーセージやラム肉シュウマイ、ラム肉パクチー餃子など単品のラムメニューもまだまだある。 これほど多彩なメニューに気軽にありつけるとは、日本の羊肉食文化の前進に胸が熱くなる。。 7月には札幌のジンギスカンの名店「だるま」も「小仔羊」のほど近くにオープンするし、御徒町には羊肉料理の名店「羊香味坊(ヤンシャンアジボウ)」もある。この夏、羊肉好きにはうれしい、ジンギスカンバトルが上野を中心に始まる。 ■松浦達也(まつうら・たつや) 編集者/ライター。レシピから外食まで肉事情に詳しい。新著「教養としての『焼肉』大全」(扶桑社刊)発売中。「東京最高のレストラン」(ぴあ刊)審査員。