サムライツアーに海外客の姿 日本ゲームのファンがレプリカを着て「面!」「SAMURAI」「NINJA」「SORYO」のどれも体験できるエリアとして需要獲得狙う
長野市松代地区で、「サムライツアー」と銘打った訪日客誘致の取り組みが進められている。地元の信州松代観光協会と、海外誘客を手がけるまちノベイト(長野市)が連携して推進。旧松代藩文武学校をはじめとする史跡や、剣道などの武道を継承するまちおこし団体といった地域の資源を生かして日本文化に関心の高い訪日客の需要を掘り起こし、新たな観光客層の開拓につなげる。 【写真】今も地元の子どもが稽古をする文武学校の剣術所
戦国時代のゲームファンも
「面!」。文武学校の剣術所では、シンガポールから訪れた4人家族が地元住民らでつくる「エコール・ド・まつしろ倶楽部(くらぶ)」のメンバーから剣道を教わり、レプリカの甲冑(かっちゅう)を身に着けてうれしそうに記念写真を撮っていた。家族の父親は戦国時代を舞台とする日本のゲームのファンで、真田家に縁のある場所を目当てにツアーに申し込んだ。
ツアーは2023年9月に開始。松代地区での侍文化の体験と、おやきづくり、宿坊での滞在、果物狩りをそれぞれ組み合わせている。同協会によると、23年9月~24年3月には計19組90人が参加。3~4人ほどの家族や友人同士で訪れ、特に米国、オーストラリアからが多い。スキーで県内を訪れる訪日客が増える冬場の需要が高いという。
侍、忍者、僧侶の文化体験を一挙に
松代地区について、まちノベイトは「実際に当時の侍が修練し、今も地元の人が活用している場所で文化体験ができる希少な場所」(マーケティング担当者)と捉えている。市内には戸隠地区、善光寺といった忍者や僧侶の文化を肌で感じられる施設もあり、「東京から1時間半の距離で、この三つの体験が可能な地域というのは大きなポテンシャルがある」とも評価する。
松代地区の観光客はこれまで国内客や中高年層が多く、同協会は近年、従来とは異なる若年層や訪日客層の獲得を目指している。同協会の成沢弘治事務局長(70)は「ツアーに来た人たちがSNSで発信し、松代に訪れる人が増えたらいい」と期待している。