大河ドラマ「光る君へ」で脚光を浴びる彼に注目!阿佐辰美が語る、役への責任感
――“父親が天皇”というのは、想像が追いつかない部分もあるのかなと思います。 そうなんです。まったく想像がつかなかったので、現場に入って徐々に掴んでいきました。三条天皇を演じる木村(達成)さんと対面してみて、「敦明は意外と、父親が天皇だということを意識していないのでは」と思ったんです。なので、父親に対して甘えたりワガママだったり、という部分を見せるのは意識したことのひとつです。 ――そのほか、敦明親王をつくり上げていくうえで意識されたことは? 親王という身分が高い役である反面、自由人というイメージもあったので、所作については指導の先生に細かく確認させていただいていました。例えば、あの時代は袖が長めに作られていて手を見せないのがマナーだったのですが、この場面の敦明が手を袖から出すのは時代的にOKなのか。あぐらが正しい姿勢だけれど、敦明はどこまで崩していいのか…ということまで確認しました。敦明の人柄を表す姿勢ひとつひとつに間違いがないように、丁寧に演じたいという気持ちでした。 ――確かにあの時代独特の衣装やセットですよね。大河ドラマの長い歴史のなかでも平安中期を描くのは初めてだそうですね。 平安時代のあの雅な衣装を着る機会はなかなかないと思うので、本当に貴重な経験でした。クランクアップして衣装を脱ぐときは名残惜しかったです。一人では着られないくらい大変でしたが、「もう着られないのか~」と。あと、セットが本当に美しくてスタジオに行くたびに見惚れていました。「こういう時代があったんだなぁ」と、その世界観に浸っていました。 ――吉高由里子さんや柄本佑さんなど名だたる俳優さんに囲まれた現場。撮影中に何かやりとりはありましたか? 実はご一緒するシーンはほとんどなかったのですが、現場ですれ違うことがよくあって、本当に気さくで素敵な方々です。吉高さんにご挨拶したときのことはよく覚えています。それまで敦明を演じていたのは子役の方で、久しぶりの登場が僕だったので、「敦明でかっ!」って言ってくださって(笑)。1年半ほど撮影が続いているなかで、皆さんがとてもいい雰囲気でお仕事をされているのは、吉高さんの存在が大きくて、明るさと心地よさを現場にもたらしているんだろうなと感じました。