日本の海外支援は「都市鉄道」こそ強みが生かせる ジャカルタの地下鉄が日本式を広める「先生」に
つまり、建設費の返済は鉄道の収益と関係なく国の予算で行うことになる。そのような背景のある都市鉄道の建設には、低金利借款が不可欠だ。円借款は他国の商業ローンなどと比べると金利が極めて低く、さらに日本の技術を吸収できることが大きなメリットだ。政府財政に余裕があり、かつ人口密度が非常に高いインドネシアは、円借款による鉄道整備にマッチしている。PPP万能論が席巻する中ではあるが、この点はしっかり相手国側に説明していかなければならない。
当然ながら返済能力には限度があり、一気に数百kmの巨大路線を建設することは不可能だ。国のアイコンになるような大プロジェクトを進めることはできないかもしれない。しかし、都市鉄道整備は引き続き日本が中心となり、地道に、そして確実に進めていくことになるのは間違いない。安井所長の一言一句からは、そんな強い意志を感じた。今後の展開にも期待していきたい。
高木 聡 :アジアン鉄道ライター