今年の増加率8.3%、来年は1.5%…もう「輸出エンジン」まで冷める=韓国(1)
韓国経済成長の核心軸である輸出が揺らいでいる。今年に入り11月までで輸出は8.3%増加したが、来年は輸出増加率が1%台に落ち込むだろうという見通しが出てきてだ。半導体輸出に対する依存度が過度に高く、米国と中国に偏った輸出戦略の構造的限界を突破しなければならないという指摘が出る。 中央日報が貿易協会、産業研究院、韓国銀行、韓国開発研究院(KDI)、金融研究院の5機関の2025年輸出増加率見通し平均を算出した結果、1.5%にとどまった。最も否定的な見通しは金融研究院の0.4%で、最も高い見通しでも産業研究院の2.2%で今年の4分の1水準だ。5機関の来年の輸出額見通し平均は6987億ドルで、今年の政府目標値7000億ドルを来年も超えられない可能性が大きいとみた。 ◇輸出の稼ぎ頭の半導体に暗雲 来年の輸出見通しが暗くなった最大の理由は半導体だ。今年の半導体輸出は半導体協会の推定で過去最高となる1390億ドルを記録し、全輸出の20%ほどを占める。半導体輸出を除けば11月までの輸出増加率は8.3%から1.6%に大きく落ちる。それだけ半導体の効果が大きいという意味だ。 ところが来年には事情が変わる。最大の脅威は中国の「半導体崛起」だ。中国最大のメモリー半導体企業の長鑫存儲技術(CXMT)、長江存儲科技(YMTC)が旧型メモリー半導体市場でサムスン電子やSKハイニックスと直接競争する関係に急変した。韓国のメモリーを輸入していた中国の電子業界が中国製メモリーに切り替え始めたのだ。サムスン電子は10月の業績発表で「中国メモリー企業の旧型製品供給増加で実績が下落した」という異例の説明を出したりもした。中国への広帯域メモリー(HBM)輸出の道が閉ざされるなど米国の対中制裁の不確実性も大きくなっている。半導体協会は来年も半導体輸出額が2.9%ほど減少すると予想した。 米中対立でこれまで半導体輸出が実際よりも大きく見える錯覚効果もあった。サムスン電子とSKハイニックスが中国にある各社工場で作ったメモリーチップを韓国に輸入して再加工し海外に再輸出する量が相当にあるためだ。半導体は無関税適用が原則だが2017年の米中貿易戦争後に両国は半導体に相殺関税を適用している。韓国の半導体企業はこの関税を避けるため中国製半導体チップを韓国経由で米国に輸出している。 また、米国の制裁により中国工場に最先端機器である極端紫外線(EUV)装備を導入できず韓国で仕上げ工程をしなければならない事情もある。どちらにしても韓国の工場を経るため輸出統計に含まれるが、半導体企業の実際の販売量が増えるわけではない。韓国が中国から輸入するメモリー半導体は2015年の55億ドルから増え続け2022年には185億ドルに達した。産業研究院のキム・ヤンペン研究委員は「メモリー大国の韓国が中国から輸入するメモリーチップ量はすべて貿易戦争によるもので、韓国の半導体輸出が増加したように見える錯視効果を起こす」と話す。