Bloomberg

（ブルームバーグ）： 中国政府は不動産を巡り、いわゆる「ホワイトリスト」対象となる未完成プロジェクト向けの与信規模を４兆元（約84兆円）にほぼ倍増させる。住宅の引き渡しを確実にし、不動産セクターの落ち込みに歯止めをかけることを目指す。

倪虹住宅都市農村建設相らが17日の記者会見で明らかにした。16日時点の与信規模は２兆2300億元に達しているという。

今回発表された措置は市場の期待に届かず、香港上場の不動産銘柄から成るブルームバーグの指数は８％余り下落した。

ジョーンズラングラサールの大中華圏担当チーフエコノミスト、龐溟氏は「政策当局は不動産セクターに対してより現実的なスタンスを取っている」と指摘。当局は同セクターに関して、「経済成長のけん引役にも足かせにもならず、今後の安定役になる」ことを期待しているとの見方を示す。

「ホワイトリスト」プログラムは、未完成の住宅が確実に購入者に引き渡されるようにするため、当局が導入したトップダウン型計画の一部。野村ホールディングスによると、4800万戸に上ると推計される販売済みの未完成住宅を引き渡すには、中央政府から約３兆元の直接資金が必要になるとみられる。

倪氏は中国住宅市場の底は見え始めており、政府には不動産の落ち込みを食い止める自信があると述べた。

中国はまた、遊休地の取得を目的とした融資を銀行に認めるかどうか、２人以上の子供がいる世帯に対する賃料を抑えた住宅支援を強化するか検討している。

ＣＧＳインターナショナル・セキュリティーズ香港の中国不動産調査責任者、鄭懐武氏は「売れ残り物件の買い取りに向けた特別債で具体的な数字がなく、市場は失望する可能性がある」と話した。

中国は今年の国内総生産（ＧＤＰ）成長率目標を５％前後に設定。政府は景気てこ入れ策を相次いで打ち出し、達成を目指している。

ＵＢＳグループの汪濤、張寧両エコノミストは今月７日のリポートで、10月上旬の不動産販売は「改善した可能性がある」としながらも、より広範な経済データは勢いが弱いことを示唆する見通しだと指摘。中国は18日に７－９月（第３四半期）のＧＤＰを発表する。