【陸上】走幅跳・橋岡優輝「勝負の1年」に向けて渡米 パリ五輪での失意から「多くの人に支えられていたと実感」
男子走幅跳の橋岡優輝(富士通)が10月28日、練習拠点の米国へ渡る前に羽田空港で取材に応じた。 男子走幅跳・橋岡優輝は予選敗退に悔し涙「しっかり振り返って次につなげられれば」/パリ五輪 「1ヵ月半、しっかり休みました」というオフを経て、引き締まった表情を見せる。そこには来年9月、東京で迎える世界選手権に懸ける思いがあふれていた。 「来年は勝負の1年になります。そこでこけないためにも、『やり切ったな』と思えるような冬季にして、来シーズンを迎えたい」 2度目の五輪だったら8月、パリでこれまで味わったことのない悔しさを経験した。予選で7m81(±0)にとどまり、全体の17位で予選敗退。「陸上を辞めたいと思うぐらいに落ち込んだ」という。 今も、そのショックから完全に抜け出たわけではない。だが、家族や仲間、恩師などさまざまな人とリラックスした時間を過ごしたり、母校の八王子高(東京)を訪問したり、同じタンブルウィードTCで汗を流すサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が主宰した「DAWN GAMES」に参加したりする中で、橋岡の中に芽生えてきたものがある。 「今までは自分の結果のためにやってきた部分が大きかったんですけど、いろいろな人と接した中で、たくさんの人たちに支えられてきたということを改めて実感する時間になりました」 U20世界選手権で金メダル、2019年ドーハ世界選手権(8位)、21年東京五輪(6位)で連続入賞と世界への飛躍を遂げた20代序盤を経て、22年以降は苦しい戦いが続く。練習拠点も米国へ移し、技術も一から作り上げげ、覚悟を持って挑んだパリ五輪でも、望んだ結果は得られなかった。 それでも、橋岡は再び前を向く。国内で勝つ、世界大会に出るということではなく、自身が目指すのは「世界の頂点」。それを求める中で、「今、辞めることは逃げることになるんじゃないか。そういう理性が勝ちました」。 米国では、世界トップ選手たちと練習に励む日々に没頭する。例年よりも1ヵ月遅い9月開催の世界選手権にピークを持ってくるためのスケジュール、トレーニング計画は、「まだ明確にはなっていません」。だが、「しっかりとコーチと話し合って、着実に強くなることだけを考えて一つひとつやっていければなと思っています」。 これまで取り組んできたことは「やっと形になり始めたというか、力はついてきたなと感じ始めています」と橋岡。あとは、「全体的な流れの不安定感がつきまとっている」ことが課題だ。 「そこをどう払拭して、定着できるかを今一度深く考えて、この冬季練習をやっていきたいと思っています」 そう力強く語り、まっすぐ前を見据えた。
月陸編集部