ヤングケアラーだった町亞聖が見た「ディア・ファミリー」 人生は長さではなく〝深さ〟 命の限りと向き合う
母の前で泣いても良かった
母の命の灯と向き合う中でひとつだけ後悔していることがあります。それは前述したように母の前では泣かないと強がってしまったこと。自分の命が長くないことを一番よく知っていたのは本人だったと思います。父が一度だけ酒に飲まれて「母さんはもうすぐ死んじゃうんだぞ」と母の前で慟哭(どうこく)したことがありましたが、そんな父を母は愛(いと)おしそうに見つめていました。ベッドに横たわる娘を前に号泣する宣政のように、そして父のように私も母の前で泣いても良かったのかもしれません。大泉洋さんの普段のユーモアを少しだけエッセンスで加えても良かったかなと思いましたが(笑い)、真面目な大泉さんに泣かされました。誰もが限りある命を生きています。私も貴方(あなた)も・・・・・・。そのことを改めて教えてくれる映画「ディア・ファミリー」ぜひ劇場で。
フリーアナウンサー 町亞聖