最終周まで激闘も、インディ500”最速の敗者”に。オワード「胸が張り裂けそうだよ」
アロー・マクラーレンのパトリシオ・オワードは、第108回インディ500を2位で終え、悔しさから言葉をつまらせた。 【動画】第108回インディ500決勝ロングハイライト オワードは200周のレースのうち、最後のピット作業を終えた最終盤に優勝争いに加わり、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)と優勝争いを繰り広げた。 特にオワードはファイナルラップに向けて、細かい駆け引きを見せた。オワードはバックスストレートでニューガーデンをオーバーテイクできそうだったものの、あえて抜かず。ファイナルラップのターン1で改めてパスし、首位に立った。 しかし、ニューガーデンはバックスストレートでオワードのトウを使い、ターン3に向けて横並びに。アウト側から大外刈りを決めたニューガーデンが、インディ500連覇を達成した。 オワードは、2022年にもファイナルラップでマーカス・エリクソン(当時チップ・ガナッシ)とホイール・トゥ・ホイールのバトルを演じ、2位に終わっている。 インディ500を2位で終えたものは、”最速の敗者”と呼ばれる。ピットウォールで涙を流すオワードは、あふれだす感情を抑えきれない様子だった。 「ストレスの多いレースだった。アップダウンが激しかった。ある時点でマシンは間違いなく運転しやすいものではなかった」 「レース中はできるかぎりペースを維持しようと努力した。それはできたと思うよ。最終的に勝つチャンスを得るために、ドアを開ける準備をしていた。胸が張り裂けそうだ。コーナーが2つ足りなかった」 「レースを無事に終えられて良かった。ジョセフの連覇をお祝いするよ。でも、このレースで勝ちたかったからマシンをあるポイントに置いたんだけど、最後まで無事に走りきれるかどうかわからなかった」 オワードはインフルエンザに罹り、週の大半は発熱していたという。そんな中でも計12周をリードしたものの、あと1周足りなかった。 「タフな1ヵ月だった」とオワードは語った。 「このレースには多くのことが関わってくる。僕は気持ちを正直に話す人間だ。何も隠すつもりはない」 「ただ、あと一歩のところでうまくいかなかったときは……色んな感情が渦巻いているよ」 ファイナルラップを振り返り、オワードはなにか違うことができたかどうか、確信が持てないという。 「コントロールできたとは思わない。僕はある意味、暗号を解いたようなもので、このレースで勝つためにどういうポジションを取ればいいか分かっているんだ」 「僕はこのレースに勝てるということは分かっているし、勝てなかったとしても配られたカードで良い結果を出す方法も分かっている」 「でも、ああいう感情的にジェットコースターのような展開が続くレースでは、物事を完璧にスムーズにこなすのは難しい」 「でもチームが素晴らしい仕事をしてくれて、僕にチャンスを与えてくれたし、上位に戻るために本当にいい作戦を立ててくれた。とても強力なオーバーカットをして、最終的にあの争いに加わることができたんだ」 「そして最後の数周でトップ2台に食い込もうとした。このクルマでそれはとても難しいことなんだ。あそこに留まるだけでも、多くのリスクを背負うことになる」 「前に居たスコット(ディクソン)とアレックス(アレクサンダー・ロッシ)を抜くときは、クラッシュする可能性の方が高かったと思う。でも、そうするしかないんだ。今回、僕たちは2位だった」
Joey Barnes