「騒いだら殺す」就寝中に突然キス 侵入者は隣人だった わいせつ目的の女性暴行で罪に問われた男の「不合理な弁解」
――女性が身動きできない状態でキスをされては、問いただすことはできないのでは 被告「そうですね」 男は動揺するそぶりも見せず、検察官の質問にも淡々と答えた。 ■被害女性「殺されると思った」 裁判では、検察側、弁護側の双方と裁判官から、女性への証人尋問も行われた。 【弁護側の質問】 ――事件前日に階段の踊り場で友人と通話していた時、通りかかった人はいましたか 女性「白い作業服の人が通り、ちらっと見ました」 【検察側の質問】 ――手足を縛られそうになった時、どう思いましたか 女性「レイプされる、このままでは殺されると思い、助けを求めました」 ――どのように首を絞められましたか 女性「両手で圧迫され、馬乗りでした」 ――首を絞められた手が止まった時は、どういう状況でしたか 女性「他の住民の『何しよるとや。警察呼んだけんな』という声が聞こえた時でした」 裁判官からは、女性が隣人である男の存在をどう認識していたのかが問われた。 【裁判官の質問】 ――暴行を受けたとき、相手が隣人だと分かりましたか 女性「そもそも隣の人の顔は認識していないので、分からなかったです」 ■懲役12年か、懲役3年か そして結審の日。検察側は「卑劣かつ悪質な犯行で再犯の可能性が高い」としたうえで、「男に同様の前科があり、その出所直後の犯行だ」として、男に懲役12年を求刑した。 一方で弁護人は「『キモイ』と言われた理由を問いただすことが目的で、被告は自分の性器を露出していない」などとして、不同意性交等傷害罪ではなく傷害罪の適用を求め、懲役3年が適当だと主張。 被告は「どんな罪であろうと償っていこうと思う。本当にすみませんでした」と述べた。 ■判決は… 裁判員による審理を経て、10月31日に判決が言い渡された。 判決は「懲役11年」。 言い渡された判決では「目や口をガムテープでふさぐ行為からは、被害者から話を聞きだす意図など全くうかがわれない」「被害者のけがの程度は比較的重く、強い恐怖などの精神的被害を被った。短絡的で自己中心的な犯行」「不合理な弁解に終始し、立て続けに犯行を重ねていて、しんしに罪に向き合っているとは言い難い。再犯の恐れも否定できない」と男を指弾する言葉が並んだ。