張本智和・早田ひなペアを波乱の初戦敗退に追い込んだ“異質ラバー”。ロス五輪に向けて、その種類と対策法とは?
異質ラバーとは何か?
一般的に多くの選手が使う、表面がツルツルで、回転をしっかりかけるラバーを「裏ソフトラバー」と呼ぶ。自分から回転をかけていくタイプで、回転量が多いラバーだ。 裏ソフトラバーの使用選手を挙げると、世界中のほとんどのトップ選手が該当する。日本男子のトップ、戸上隼輔も張本智和もフォアが裏ソフトラバー、バックも裏ソフトラバーだ。 一方、異質ラバー全般は、回転量が少なくナックル性のボールになる。異質ラバーには、大きく分けて「粒高ラバー」「表ソフトラバー」「アンチラバー」の3つの種類がある。 それぞれ使い手の異質型の選手を挙げると、粒高ラバーの有名な選手は、国内では出澤杏佳。バック面に使用している。表ソフトラバーの有名な選手は、木原美悠。彼女もバック面に使用だ。アンチラバーの有名な選手は国内では見当たらず、やはりインドのムカルジーとなるだろう。 まず、「粒高ラバー」。これはカットマンの選手でバック面だけ使用する選手が一定数いる。高校時代の佐藤瞳などがそうだ(現在の佐藤は、粒高寄りの表ソフトラバーを使用)。性能は、明らかなナックルボールが出ることが特徴で、相手の回転のあるボールも、その回転を消してしまうほど突出した性能を持つ。異質ラバーといえば真っ先にこの粒高ラバーを思い浮かべる人も多いだろう。 次に、「表ソフトラバー」はどうか。これは凹凸があるのに、その凹凸が低く、ゴムも固いのが特徴だ。性能も、粒高ラバーほどナックルや無回転に特化しているわけではない。個人の感じ方の差や、商品ごとに差はあるものの、表ソフトラバーの性能は、実は裏ソフトラバーに近いものもある。けっこう回転もかかる。弾くような打ち方であれば攻撃もしやすい。 トップ選手では、バック面に表ソフトラバーを貼って、レシーブ時だけナックル性のボールも出し、それ以外では前陣速攻の選手としてバックミートで弾く打ち方をする選手も多くいる。日本では伊藤美誠などがそのスタイルの筆頭だ。 3つ目が、「アンチラバー」。最もやっかいな存在で、かつ、粒高ラバー以上にトップ選手の使用が少ないラバーだ。世界のトップ選手が集う大会では、現代ではアンチラバーを見かけるほうが少ない。しかし、稀だからこそ「慣れる機会が少ない」とも言える。 世界選手権で中国の孫を倒し、突如ブレイクしたインドのムカルジーのバック面がまさにこのラバーだ。