「渡航中止勧告」のモスクワは本当に“危険”な地域…? まばゆい電飾、安い物価――モスクワの「へ~」
■ロシア在住の日本人は半減…ロシアの人たちは?
そんなロシアに日本人は現在、何人いるのだろうか? 外務省が毎年10月に公表しているデータによると、23年に在留登録している日本人は1003人だそうである。ウクライナ侵攻開始前の21年10月は2202人で、半減した形だ。侵攻開始前後に企業の撤退、または事業規模の縮小があり、それに伴う家族の帰国が主な要因のようだ。 ただ現時点で、首都モスクワで身の危険を感じることはない。政治レベルでは、非友好国「日本」への制限や規制は増えているが、市民レベルで「日本人」であることを理由に差別されるようなことは、記者の周りでは起きていない。 感覚として、G7(=主要7か国)の中で、プーチン大統領や外務省が「日本」について触れることは多いように思う。もちろん、現在は批判的な内容がほとんどだが、あえて“チョッカイ”を出しているようにも感じられる。 プーチン大統領は1年前、日本との関係について尋ねられると「日本との関係は柔道だけだ」と述べた。また、2023年12月14日の「国民対話・大規模記者会見」では、聞かれてもいないのに石油ガスの輸出に関する話題の中で「ちなみに日本は購入している」と、わざわざ日本企業が出資している石油・ガス開発事業「サハリン2」に触れた。 余談だが、ロシアが2023年8月に導入した「電子ビザ(査証)」発給の対象55か国には、日本が入っている。16日間以内の観光であれば、インターネット上でビザが簡単に取得できる制度だ。この中にドイツ、フランス、イタリアの名前はあるが、アメリカ、イギリスとカナダは入っていない。
■「HAYAO MIYAZAKI」の電光掲示が出た
2023年12月7日、ロシア語で「HAYAO MIYAZAKI」の名前がモスクワの映画館の広告塔に掲出された。日本で7月に公開された宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』の公開初日だった。ロシア語タイトルは「少年と鳥」。ロシア語吹き替え版が市内各所の映画館で上映され、複数のメディアが紹介記事を掲載した。