【有馬記念】ドウデュースの世話役3年以上の前川和也調教助手「スピード、操縦性など僕が乗ったなかで断トツ」
3年以上、ドウデュースの世話役を務め、GⅠ5勝を支えてきた前川和也調教助手(48)=栗東・友道厩舎=に話を聞いた。厚い信頼関係で結ばれている愛馬への思いや、そのすごさ、歴代最多得票数でのファン投票1位で迎えるラストランを前に、胸の内を明かした。 ◇ 3年以上ともに苦楽を分かち合ってきた相棒。前川助手が優しいまなざしでドウデュースとの厚い信頼関係を語った。 「すごくやりやすいです。乗っても言うことを聞いてくれるし、手が掛かりません。友達みたいな感じですね」 デビュー2戦目のアイビーSから担当。角居厩舎時代にはオークス馬のトールポピーや秋華賞馬アヴェンチュラ、チャンピオンズCを制したサンビスタなど、数多くの名馬に携わってきた腕利きも、初めての追い切りで衝撃を受けた。 「スピードも操縦性も断トツ。タフさとか脚元の丈夫さとか息遣いとか、今まで僕が乗ったなかでも断トツです」 その感覚通り、無傷の3連勝で朝日杯FSを制覇。完成度の高さも光ったが、その後、4年連続でGⅠを勝利。引退レースを迎える5歳秋になっても進化を続けている。 「休んで帰ってきたら『まだ良くなっている』というまま4年たち、全部が成長し続けている感じです。フォームが固まってきてピシッと(気持ちが)入ったときは矢のような、チーターのような感じ。どこがピークなのか、謎のまま終わる感じですね」 喜びや悔しさをともに味わってきたが、最も印象に残っているのは、出走取消となった昨年のドバイターフだという。 「ドバイまで行って使えなかったことが一番、辛かった。馬は元気なのに…。ホテルでずっと引きこもっていました」 ファン投票では歴代最多の47万8415票を集めた。ドウデュースのもとには日々、ファンから数えきれないお守りや手紙が届く。泣いても笑っても最後のレースとなるが、気負いは全くない。 「まだバタバタしているので、そんなに寂しさはありません。引退式からそのまま放牧に出ると思うので(寂しいと感じるのは自分が)こっち(栗東)に帰ってきてからじゃないですかね。『とにかく無事に』という思いです」 いざ、多くのファンが待つ中山競馬場へ。みんなの夢を乗せて、最高のフィナーレを飾る。(斉藤弘樹)