創業以来初「年間売上高1000億円」を突破…餃子の王将が「約2年で4回の値上げ」をしても顧客の心を離さない理由
■「王将調理道場」「王将大学」独自の人材育成システム 店それぞれが、地域のスモールマスのニーズを踏まえて、商品・サービスを自ら考え、作り、売る。それを実現するには、発想力や行動力、調理スキルなどを備えた人材の育成は欠かすことができない。そのため、新入社員研修に始まり、全国からスタッフが集まって調理技術の継承と向上を行う「王将調理道場」、店舗運営や人材マネジメントを研修する「王将アカデミー」、現在のフランチャイズオーナーの半数以上が利用している社内独立制度など、独自の人材育成システムを通じて、スキルと独創性が育まれている。 スモールマス戦略は、メーカーの商品開発の文脈で、SNS解析やインターネット広告などのデジタル分野とセットで語られることが多い。しかし、餃子の王将のように、リアル店舗で地域ごとに実践する場合にも、大きな効果が期待できるものである。スモールマス戦略は、飲食や小売などの幅広い立地型サービス産業にとって、具体的なスモールマスに選ばれるためのマーケティング戦略として有効活用できるだろう。 ---------- 永井 竜之介(ながい・りゅうのすけ) 高千穂大学商学部教授 専門はマーケティング戦略、消費者行動、イノベーション。産学官連携活動、企業団体支援、企業との共同研究および企業研修などのマーケティングとイノベーションに関わる幅広い活動に従事。主な著書に『 マーケティングの鬼100則』(ASUKA BUSINESS)、『 分不相応のすすめ 詰んだ社会で生きるためのマーケティング思考』(CROSS-POT)などがある。 ----------
高千穂大学商学部教授 永井 竜之介