「やさしい日本語」で表現を 三重県がガイドライン公開 外国人との意思疎通
三重県は今月、県内に住む外国人との円滑なコミュニケーション手段として、分かりやすい言葉で表現する「やさしい日本語ガイドライン」(A4判、24ページ)を作成し、県の公式ホームページで公開した。同時に、県の国際交流員による無料(交通費別途)の出前講座も募集を開始し、利用の拡大を呼び掛けている。
災害時に使える具体例など示す
「やさしい日本語」は、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災で被災した外国人が、日本語や英語を十分理解できずに、避難所の場所や救援物資などの支援情報が行き届かなかった教訓から考案された。当初は災害時に外国人に「迅速かつ的確に情報を伝える」ことが目的だったものの、今ではコミュニケーション手段の一つとなっている。 県ではコロナ禍をきっかけに、2020(令和2)年から、ワクチン接種に関する情報などを分かりやすい日本語で伝える研修を県職員に行ってきたが、今回、県民にも周知しようとガイドラインを作成した。出入国在留管理庁や文化庁、静岡県など国や各自治体のガイドラインを参考にしながら、構想1年で完成した。 県内に居住する外国人人口は23(同5)年末時点で100カ国以上6万2561人と過去最多を更新し、国籍は▶ブラジル=1万3241人▶ベトナム=1万2639人▶フィリピン=8197人──が上位を占める。松阪地区では▶松阪市=5111人▶多気郡多気町=187人▶明和町=308人▶大台町=127人──となっている。県によると、県総人口に占める外国人割合は3.56%と全国で4番目に高い。 ガイドラインでは「やさしい日本語」の作り方として▶一つの文に一つの情報にして文を短く▶敬語は丁寧語にする▶二重否定やあいまいな表現は使わない──などを挙げ、筆記の際にも、単語と単語の間、文節と文節の間を空ける「分かち書き」などのルールを盛り込んでいる。 使用する日本語のレベルは日本語能力試験のN5、N4の初級程度を基準としており、小学校2、3年生が学ぶ漢字と平仮名、片仮名で構成する。 「明日は清掃活動があるので、午前8時に事務所に集合してください」を〝やさしい日本語〟に言い換えると「明日は掃除をします。午前8時に事務所に来てください」となる。しかし、救急車は「病気やけがをした人を助ける車」、避難訓練は「地震や台風の時に逃げる練習」、余震は「あとから来る地震」など、災害用語や日常生活でよく使う重要な言葉はそのまま使い説明を加える。