絶対に、落ちるわけにはいかない…現役の理系大学院生が挑んだ「超理系の試験」の結果
果たして元素検定の結果は…?
検定、講演と続き最後は結果発表です。(1級は記述問題があるので、後日検定結果を郵送という形になるそうです。) 結果は……無事合格です! よかったです。一安心しました。 点数は78点。70点合格なので、ちょっとギリギリかな。もう少し細かいところまで詰めるべきだったなと反省です。 合格すると認定証がもらえるのですが、それがかなりかっこいい! 各級によって色が違って、3級はブラック、1級はゴールドのようです。あまりにかっこいいので、2級所持者もその認定証欲しさに3級を受けたりしているようです。 私もさらに勉強して、1級、2級、3級のカードを全部揃えたいな! そして、お土産として「元素」もいただきました! 今回は原子番号40のZr(ジルコニウム:5周期目、4族)が受験者全員に配られました。 ジルコニウムのユニークな特徴として、「酸素分子、水素分子、窒素分子を非常に吸着する」というものがあります。1000℃ほどに加熱すると、自身の体積が膨張するのが目でみてわかるくらい酸素を吸着するらしいです! 目でみてわかるくらい変化するって、どれだけ膨張するのだろうか、見てみたいです。 おっと、今回の元素検定でジルコニウムを手に入れたので試せるか……? ただ、1000℃まで加熱できるバーナーが家にはないですね。残念!
元素の沼にハマったきっかけ
今回初めて「元素検定」にチャレンジしたのですが、そのきっかけとなったのが桜井弘先生の「元素118の新知識」という本! 500ページ超えのかなりボリュームがある本です。 正直これは読み切るのに時間がかかるなと思っていたのですが、「そうだ!1日1元素読んで行こう!」と思いつきました。118個の元素を1日1つ楽しんで、4ヶ月かけて元素を楽しむ。それに、1冊の本を4ヶ月かけて読むってロマンがあるなと。 ということで、元素を知る旅をスタートしました。 そして、そんな旅の記録を「#1日1元素生活」というハッシュタグをつけてXに投稿していました。 高校、大学と化学を学んできましたし、現在は有機化合物という物質を扱っているので、物質を構成する基本単位の元素を並べた「周期表」は馴染み深いです。 特に縦の列(族)が類似した性質を示すということは重要で、普段の研究生活において考えなくても意識できるくらい染み付いています。 たとえば、冒頭で熱伝導率が高い金属として紹介した金、銀、銅も、縦に並んでいて同じ11族です。 ただ、この元素の旅を通して「周期表」というのがただ単に化学的性質を私たちに与えるのみならず、元素の個性やさらには「科学の歴史」までが刻み込んでいるものだと気付かされました。 たとえば、貴ガスのKr(クリプトン)の名前の由来に着目してみましょう。 この元素名は、ギリシャ語の「隠れた」(Kryptos)の意味から命名されました。実はこのKr、地球上に存在する気体の中で最も少ない元素なようです。この名前の付け方、粋で洒落ていますよね。名前から元素の個性が垣間見られます。 他にも、周期表下部の中央に着目すると、63のヨウロピウム(ヨーロッパで発見)と95のアメリシウム(アメリカで発見)が上下に並んでいることがわかります。ヨーロッパとアメリカの対抗意識が垣間見られますね。 さらに、後半の原子番号の元素をみていくと、96のCm(キュリウム)、99のEs(アインスタイニウム)、100のFm(フェルミウム)、101のMd(メンデレビウム)、102のNo(ノーベリウム)、この元素を知らない人もなんだか聞き馴染みがあるように思うのではないでしょうか。