【闘病】20代で「ベーチェット病」一時は命を絶つことも考える痛み…『自分は幸運だった』
自由に旅行を楽しめる今だからこそ海外旅行を楽しみたい
編集部: いずみさんの現在の生活の様子について、体調も含めて教えていただけますか? いずみさん: 私の場合は予後が良く、関節炎の症状が酷くないのでベーチェット病になる前とさほど変わらない生活を送ることができています。とはいえ、「健康な人のふり」をして無理するのではなく、周囲の人や会社についての説明と私がしてほしい配慮をお伝えしています。2022年には結婚、2023年2月には海外で挙式もできました。実はベーチェット病とわかる前、生理の度に背中に大量のニキビができ、痕も酷いことがありました。しかし、プレドニンのおかげで痕もすっかり綺麗になり、背中の開いたウエディングドレスも着られて嬉しかったです。2024年1月にはプレドニンがゼロになり、主症状の再燃もないため、これからは夫とたくさん海外旅行をしたいと思っています。 編集部: ベーチェット病について知らない方、普段意識されていない方に向けてアドバイスをお願いします。 いずみさん: ベーチェット病の好発年齢は20~40歳で、30代の働き盛りがピークになります。ベーチェット病は原因不明で、どんな症状から現れるのかも人それぞれです。健康な方、若い方でもある日突然患者になってしまう可能性があることを知ってほしいです。そして、小さな異変であっても、おかしいと感じたらすぐに病院へ行ってください。特に目の充血は「疲れかな」「ドライアイかな」と軽くみられがちですが、ベーチェット病のように失明の恐れがある病気の可能性があります。 編集部: いずみさんの体験を通して、医療従事者に望むことはありますか? いずみさん: 私はコロナ禍でベーチェット病を発症しましたが、そんな中でも適切な医療を受けられたのは、医療従事者の方々がいつも通りに働いてくれたからこそです。いつも本当にありがとうございます、と伝えたいです。また、ベーチェット病は一昔前だと失明する病気でしたが、現在は視力低下を防げる患者もいます。ベーチェット病を研究してくれている方々には、感謝の気持ちを伝えたいです。 編集部: 医療の進歩でベーチェット病もコントロールできる病気になったということですね。 いずみさん: ただ、薬剤師さんへのカルテ開示がされないことで少し辛い思いをしました。薬剤師さんは私が伝えない限り病名や状況を知ることができません。妊娠中はコルヒチンを中断しておりましたが、死産した後、コルヒチンを処方してもらうことになりました。そのとき、薬剤師さんに自ら死産という辛い出来事を伝える必要がありました。個人情報なので開示が難しいのは分かりますが、とても辛かったですね。 編集部: いずみさんのこれまでの経験を通して、本記事の読者に伝えたいメッセージをお願いします。 いずみさん: 原因不明の難病は、誰にでも発症する可能性があります。厄介なのは「健康ではないにせよ、命に関わるような病気ではなく、寿命が来るまで付き合う必要がある病気」という点です。私は職場が在宅勤務となったので、仕事を辞めることなく闘病を続けられていますが、幸運なケースであると自覚しています。この記事を読んでくれた方が、難病患者の就労について少しでも興味・関心を持ってくれると嬉しいです。「見た目にはわかりづらい」「健康な人と同じように見える」難病患者もいることを知ってもらえれば、私達も働きやすくなります。