2024年版 今こそ乗りたい「最強&最高」のスポーツカー 10選 公道で味わう「大人」テイスト
9. メルセデスAMG SL
長所:大パワー、速さ、V8エンジンの柔軟性 短所:「スポーツカー」と呼ぶにはやや不自然、高価 メルセデス・ベンツSLは長年にわたり、ハードな「スポーツカー」と快適な「クルーザー」の間で揺れ動いてきた。最新の第7世代では明らかに前者を目指し、後者とは距離を置こうとしている。AMGのエンジニアによって専用設計され、新開発のアルミニウム製プラットフォームを採用していることからもSLが理想とする姿がよくわかる。 従来の電動格納式メタルルーフに代わって軽量なファブリックルーフを採用したこと、四輪操舵(4WS)を設定したこともSLの性格を示している。エントリーモデルのSL 55は最高出力477psの4.0L V8ツインターボを搭載し、0-100km/h加速3.9秒、最高速度295km/hを謳う。これではちょっと物足りないという人のために、最高出力585psのSL 63も用意されている。 いずれも先代モデルよりダイナミックで高性能だ。クイックなステアリング、強力なグリップ、引き締まったボディコントロールによって、正確かつ冷静にコーナーを駆け抜けることができる。四輪駆動のおかげでV8エンジンの強大なパワーを存分に発揮することができ、またペダル操作によるドライバーの遊び心を許容するセンスも備えている。 しかし、少々「贅肉」が多いように感じられ、ドライバーとの距離感や軽快感はポルシェ911に敵わない。とはいえ、日常的な使い勝手はよく、アダプティブダンパーで快適な乗り心地を実現し、インテリアもSクラス並みに豪華になった。結論、ドライバーの気分が乗っているときは積極的に遊び、そうでないときはリラックスできる、優れたオールラウンダーである。
10. レクサスLC 500
長所:コンセプトカーのような外観、ほとばしるV8サウンド、贅沢でリッチなインテリア 短所:グランドツアラーの性格が強い、大型で重い 走り好きのドライバーとしては、レクサスLCを推したい。LCはどちらかというと、「ラグジュアリークーペ」というイメージが強いかもしれない。しかし、躍動感あるV8エンジンを搭載しながら、バランスのとれた軽快なハンドリングを併せ持ち、どちらかというとジャガーFタイプやポルシェ911のライバルと見た方が自然に感じられる。それゆえ、ここで紹介することにした。 サイズは大きいし、足は鉛のように重く、時には道路を走るのが少し面倒に思えるほどで、LCに対するアンビバレンツな感情から逃れることはできない。しかし、V8エンジンは特別な存在であり、その敏捷性とバランスは非常に素晴らしいものだ。インテリアは驚くほど上質だが収納スペースに乏しく、ロングツーリングに適しているとは言いがたい。 結局のところLCは、その長所に感動するか短所にガッカリするかによって、ドライバーの評価が大きく変わるだろう。ダイヤモンドの原石か、恐ろしいマナー講師のどちらかだ。弊誌にとっては、限りなく前者に近い。
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部