今さら聞けない…「103万円の壁」とは? 「178万円」でどうなる? 実は「106万円の壁」「130万円の壁」も…ファイナンシャルプランナーが分かりやすく解説
30年近く据え置かれている一方、このところの物価高を踏まえると、控除額を引き上げるべきでは?という議論もあります。 また時給が上昇する現在、今までより短い労働時間で103万円の壁に到達してしまうため、労働者の働く時間がさらに減っていしまい、労働力不足に拍車がかかるおそれも出てきます。 そんな「103万円の壁」に切り込んだのが国民民主党で、上限を178万円に引き上げると主張しています。 178万円の根拠ですが、1995年と比較して、いまの最低賃金が1.73倍になっていることから、控除合計額も103万円×1.73=178万円に引き上げるべきとしています。 ただ、壁を178万円に引き上げるにも問題点があります。 1つは「税の減収」です。 政府の試算によると、仮に所得税と住民税の基礎控除を178万円に引き上げた場合、国と地方の合計で年間約7兆6000億円の税収減になるといいます。少子化対策や防衛力強化などでさらなる財源確保が必要ななか、7兆円以上の税収減をどのように補うかが大きな壁となります。 もう1つが「別の壁の存在」です。 103万円の壁は「税制上の壁」といえますが、これとは別に「社会保険上の壁」も存在します。 年収が130万円を超えると、親や配偶者の扶養から外れ、これまで払っていなかった社会保険の保険料を自分で払うことになります。 また条件によっては106万円を超えると社会保険の負担が発生します。試算によると130万円の壁を超えると、手取りは約20万円減るといわれています。 そのため、たとえ103万円の壁が解消されたとしても、「106万円」や「130万円」の壁もあるので、働き控えの解消にはつながらないのではという議論もあります。 一方で国民民主党の玉木代表は「国にとっては7兆円の減収だが、国民にとっては7兆円分手取りが増える」。財源についても「ある意味増えすぎた税収をお返しする」と主張しています。 特に若者に支持されているという「103万円の壁の撤廃」。壁を意識することなく働ける制度づくりが求められています。
山陰放送