英国ロイヤル・オペラが5年ぶり来日公演 音楽監督パッパーノ、最後のタクト
世界トップクラスの歌劇場、英国ロイヤル・オペラの日本公演が22日から始まる。来日した音楽監督アントニオ・パッパーノを始め、出演する歌手らが記者会見を行った。上演するのはヴェルディの「リゴレット」とプッチーニの「トゥーランドット」の2つの傑作イタリア・オペラ。5年ぶりの日本公演は今シーズンで22年間務めた音楽監督を退任するパッパーノの最後のタクトになる。「何年間したという長さではなく、作品の一つ一つに意味を見いだしています」と話した。 ■世界最高のオペラハウスを自負 ロンドンのコヴェント・ガーデンにあるロイヤル・オペラは「コヴェント・ガーデン」とも称される。その歴史は1732年にさかのぼる。「メサイア」で知られる作曲家、ヘンデルはここで多くのオペラやオラトリオを上演した。現在の劇場は1858年に建てられた3代目。ロイヤル・オペラとロイヤル・バレエ、ロイヤル・オペラ・ハウス・オーケストラが本拠とし、約2100の客席を有する。 オペラ・ディレクターのオリヴァー・ミアーズはその魅力を「世界中に最高といわれるオペラハウスがいくつもありますが、私たちも最高のオペラハウスと自負しています。たくさんの劇場があるロンドンという場所が特別です。そして300年の歴史です。政府は戦後、ロイヤル(王立)という形にして援助してくれました。われわれは最高の芸術をすべての人に届けます。そのために政府はそれだけの援助をしてくれるのです」と話した。 パッパーノはイタリア系両親のもと、イギリス・エセックスで生まれた。ベルギー・ブリュッセルのモネ劇場などを経て、2002年に音楽監督に就任。R・シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」でシーズンをスタートさせた。 「22年の間に多くのさまざまな演目を上演しました。一つの作品が終わればまた次の作品と、音楽監督としてやりたいレパートリーを提案する機会を与えられました。私は貪欲ですので、ワーグナー、プロコフィエフ、ベルク、モーツァルト、ヴェルディ、プッチーニ、シマノフスキなどいろいろな作品を取り上げることが可能でした。一つ一つ積み上げていく中で、私の音楽的解釈をしっかりと固め、さらに劇場というものに対する確固とした考え方を持つに至りました。そして素晴らしい歌手や演出家との協働関係があります。ここで働いた時間、長さというより体験の質の高さをこの年月で得ることができました」と話した。 ■「リゴレット」「トゥーランドット」の2演目