英国ロイヤル・オペラが5年ぶり来日公演 音楽監督パッパーノ、最後のタクト
「リゴレット」は2021年、ミアーズによって新演出された。美しい娘ジルダを人目をしのんで育てているリゴレットはマントヴァ公に使える道化。マントヴァ公は女と見れば手を出さずにはいられない。その心情は「風の中の羽のように」と歌うアリア「女心の歌」に表れている。
ジルダ役のネイディーン・シエラは「ジルダが受けていた唯一の教育は教会の教えだったと思います。自分をイエス・キリストになぞらえています。キリストが自分の命をもって多くの人々の魂を救いたいという考えと重なるものがあると思います。亡くなるとき父親の胸の中でみんなを赦してやってほしいと求めます。オペラから何かを学ぶことも大事だと思います。人々は自分の人生に当てはめることができる。自分が悲劇を通して何か心動かされる、自分自身の糧にできる、オペラとはそういう力を持ったものではないでしょうか」と話す。
「トゥーランドット」はプッチーニ最後の未完のオペラ。トゥーランドット姫は中国皇帝の姫。ダッタン王の息子カラフは祖国を追われているが、トゥーランドット姫を一目見て求婚する。テノールのカラフが歌う「誰も寝てはならぬ」には誰もが聞きほれるだろう。
カラフを慕う娘リューを歌うマサバネ・セシリア・ラングワナシャは「リューは私がプロの声楽家として正式に歌った初めての役です。3つの美しいアリアがあります。この役のキャラクターはすぐに皆さんの心に残るようなすてきな役です。カラフがほほ笑みかけてくれた。そこに彼女は愛を見ました。カラフへの強い思いは愛を持ちながらも身分の違いもあって決して外に出さず、自分の中に閉じ込めておこうとしたのがリューなのです」と話した。
ロイヤル・オペラの公演は、「リゴレット」は6月22、25日、神奈川県民ホール。28、30日、NHKホール。出演はハヴィエル・カマレナ(マントヴァ公爵)、エティエンヌ・デュピュイ(リゴレット)ほか。「トゥーランドット」は23、26、29、7月2日、東京文化会館。出演はマイダ・フンデリング(トゥーランドット)、ブライアン・ジェイド(カラフ)ほか。出演は問い合わせはNBSチケットセンター。
(江原和雄)