円は対ドルで156円台前半、日銀のハト派姿勢が重し-けん制警戒も
(ブルームバーグ): 23日の東京外国為替市場で円相場は小幅下落し、1ドル=156円台前半で推移している。日本銀行の利上げ慎重姿勢を背景とした円売りが優勢。金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値に向けた円売りも後押しした。前週末に日本当局が急速な円安をけん制したことやクリスマス休暇を前にした持ち高調整も続き、下げ幅は限られている。
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、仲値にかけて円売りが優勢となった後は「先週、日米金融政策イベントを終えて、クリスマスの週に無理に仕掛けるプレーヤーはいない」と説明。
井口氏はクリスマスが水曜にある今週は動意付きづらく、動き出すのは来週になるのではないかと指摘。日銀が27日に公表する18、19日開催の金融政策決定会合の主な意見の内容次第では、日本の三が日にかけて160円を試すリスクが出てくると語った。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、目先は155~158円の取引レンジでの動きを見込む。日銀の利上げ慎重姿勢を背景にクリスマス休暇明けから再度円安が進むとし、158円を超えると160円を試す機運が高まると予想している。日本の通貨当局による円安けん制の度合いが強まるかがポイントだと述べた。
加藤勝信財務相や三村淳財務官は20日、足元の為替動向を憂慮しているなどと述べた。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストはリポートで、既に2週間で4%以上の円安になっていたとして「口先介入に違和感はない」と指摘。円が160円に近づけば口先介入が一段と強化される公算が大きいと述べた。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、レバレッジファンドの17日時点の円売り持ち高は7月30日以来の大きさとなった。各種報道で日銀が12月金融政策決定会合での利上げを見送るとの見方が強まり、円売りポジションが積み上がった。
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Daisuke Sakai