「1億円以上」騙し取られる被害相次ぐ…SNSの「著名人なりすまし詐欺広告」なぜ野放しに? 被害に遭わないためには? 専門家が解説
◆詐欺広告を放置する大手IT企業の責任は?
ユージ:なりすまし投資詐欺広告被害の事業者の責任について、塚越さんはどう思いますか? 塚越:大手IT企業の責任は重いと思います。特にメタ社は「対策不十分」という意味で責任が重いと思います。今回の件を受けてメタ社は声明を発表しています。プラットフォームの安全に対して、詐欺対策を含めて2016年以降で200億ドル以上のお金を投資してきたと述べていて、(自動検知などの)機械を使うだけでなく、人間による審査もおこなっていると言っています。そう言っているわりには、全然できていません。 前澤さんは、メタ社から謝罪の言葉がないことや、日本語を理解している人がいるなら(不自然な日本語を使っている)詐欺広告の判別は容易なはずであると、怒りをあらわにしています。 これは、私もそう思います。Facebookは、投稿した写真から人の顔を検出する技術が非常に優れています。著名人の顔がすぐに検出できるので、そういう写真を使った広告は簡単にブロックできるはずなのに、なぜこんなことが起こっているのだろうと思います。 例えば、100歩譲って政治的なフェイクニュースなどは文脈を読む必要がありますが、今回の件については違います。非常に問題です。日本政府は、これも含めてビッグテック(※世界規模で支配的な影響力を持つ巨大IT企業群)の規制を設ける方向に動いています。
◆詐欺の被害に遭わないためには、どうすればいい?
吉田:あらためて、なりすまし投資詐欺広告の被害に遭わないために気をつけることは何でしょうか? 塚越:まずは、そういう詐欺が流行っていることを知らない人も多いので、若者や高齢者などに、こうした詐欺があることを伝えておくことが大事です。詐欺がおこなわれる場(=詐欺師と被害者が直接やり取りするツール)は主にLINEなので、場合によっては、相手が本当に著名人かどうか、ビデオ通話をかけて試してください。 その際も、(ある人物の動画や音声などを人工知能(AI)を使って作り上げ、デジタル加工する)「ディープフェイク技術」で著名人の顔になりすましている可能性もあります。 (そのようなディープフェイク動画の見分け方のポイントの1つは)長く話をしている動画で、正面から横を向いたときに違和感があるので気づくと思います。また(投資詐欺の疑いがあるような)そうした会話をする際は、1人ではなく、何人かで話しを聞いてみるなどして、見破ってほしいと思います。みなさん注意してください。 (TOKYO FM「ONE MORNING」2024年4月18日(木)放送より)