【有馬記念】すべてはオグリキャップの劇的Vから始まった… スタニングローズで初参戦!高野友和調教師の熱い思い
父キングカメハメハの生き写し
それから9年たって迎える初の有馬記念。送り出すのはキングカメハメハ産駒の5歳牝馬だ。トレーナーの師である松田国英元調教師が管理した偉大な父、その最終世代が同馬となる。 「改めてキングカメハメハという馬の偉大さを感じます。本当に能力がすごかったんだなと。今のこの時代でもトップランナーですから。どんどん淘汰されていく中でまだいるんですから。ディープインパクトもそうですし、ハーツクライや(母の父)クロフネもそう。長きにわたってずっと日本の種牡馬界で生き抜いてきた馬たちは、やっぱりこういうことなんだなと」 血統がどんどん進化していく生産界において、その競争を勝ち抜き、さらに若い種馬たちが結果を出していく中で、こうして最後にまたGⅠを勝ち切る馬を出してくる。この血の底力にはすごみを感じるという。 そんなキングカメハメハの血を色濃く継いでいるのがスタニングローズだと師は語る。「牡牝で性差はありますが、形は生き写しだと思います。1歳の時からこれはキンカメのいいところを受け継いでいるなという形をしていましたが、年を重ねてさらに頑強になってきました」。前走エリザベス女王杯で約2年ぶりの勝利を挙げ、トップランナーとして戻ってきた愛馬を師は誇らしげにたたえる。 様々な思いが交錯するスタニングローズのラストラン。同じくラストランだった芦毛の怪物が歴史をつくった“あの日”から紡がれてきたドラマの結末を楽しみに待ちたい。 ※1990年12月23日に行われた第35回有馬記念 この年の秋シーズンは天皇賞6着→JC11着と敗戦が続いたオグリキャップ。グランプリへの出走に関しては否定的な声が上がり、脅迫状が届くまでの事態に。それでもファン投票1位で出走したオグリは武豊を背に1着でゴールを駆け抜け、ラストランを劇的な復活Vで飾った。競馬場の17万人のファンからは「オグリコール」が巻き起こった。
西谷 哲生