レノボのCMOが語る、新たに生まれた AI テクノロジー製品のマーケティング
──新しいAI対応PCがレノボにとって重要な理由と、その販売計画は?
私の考えでは、AIやAI対応PCは、PC全般にとって大きな将来性を感じさせるものだ。この点に関して、私たちは多角的に捉えている。何よりもまず、PCとの極めて個人的なやり取りを可能にするという点で、AIがもたらす未来は非常に明るい。つまり、PCがあなたについて深く知り、あなたの行動をある程度予測し、あなたのパターンやリズムを学べるようになる。(新たに発表したAI製品については)私たちがAIについてどう考え、AIで何を提供するのかという点で、競合他社と差別化することが重要だ。 ハイプサイクルに巻き込まれたい人はいないだろう。メリットを見極めたいと考えるのではないだろうか。というのも、人々はAIに一定の懸念を持っていると思われるからだ。誰もがAIを理解しているわけではないし、求めているわけでもない。そこで私たちは、AIを有益なものにすることに全力を注いでいる。AIが素晴らしい未来をもたらすと考えているのだ。私たちがAIに大きくフォーカスしている理由はここにある。また、プレミアムデバイスになぜAIが必要なのかという疑問もあるだろう。AIは何をもたらし、何を与え、何の役に立つのだろうか。私たちはマーケティングの観点から、こうした疑問に答えようとしている。
──つまり、啓蒙とマーケティングを同時に行っているということ?
そのとおりだ。カテゴリーをつくり出しているともいえるだろう。非常に軽々しく聞こえるかもしれないが、そんなつもりはない。私たちはまったく新しいカテゴリーを創造しているのだ。数年前には、暗号通貨がすべてを変えようとした。それから、メタバースがすべてを変えようとした。AIはこうした変化を本当に実現できると思う。そしてレノボは、間違いなく何年も前からAIを利用し、活用してきた。また、今後数年間で、AIを中心とした研究開発に10億ドル(約1480億円)を投資することを明らかにしている。私たちは明確にコミットしているのだ。
──新しいAIツールは、さまざまなプラットフォームで広告やアナリティクスをどう変えるだろうか?
キャンペーンのやり方という点で、AIツールはありとあらゆる機会を生み出すものだ。これまでの古いマーケティング手法は、それを揶揄するわけではないが、どれも統合型のキャンペーンで、見た目も印象もほとんど同じだった。まるでお揃いのバッグのようにだ。だが今、ありとあらゆる種類のクリエイティブをアルゴリズムに組み込めるようになるといわれている。どのクリエイティブが最も効果的なのかを見極め、テストできれば、すべてが同じに見えることはなくなるだろう。 Z世代に話を聞くと、彼らが好んでいるのは、順序立っておらず、互いに似通っていないブランドストーリーだ。だが彼らは、そのメッセージを理解し、ポイントをつかむことができる。私はZ世代について考察や研究を進め、彼らと共に仕事をすることに多くの時間を費やしてきた。また、(レノボが)保有する消費者パネルを継続的に活用している。彼らに対しては、すべてを同じように見せたり同じような印象を与えたりする必要はないが、語りかける必要がある。しかも、彼らはとても行動が速い。私たちより素早くスクロールするので、それに合わせてすぐに対応しなければならない。こうした状況が、マーケティングを変えつつあると思う。