大成が関東高校大会初出場初優勝!先を見据えて「絶対に満足しないチーム」「最強の代」へ
[5.27 関東高校大会Aグループ決勝 大成高 4-2 明秀日立高 ゼットエー] 歓喜の関東初制覇も、満足はしない。第67回関東高等学校サッカー大会は27日、千葉県市原市のゼットエーオリプリスタジアムで最終日を行い、各都県1位によるAグループの決勝で大成高(東京1)と明秀日立高(茨城1)が対戦。大成が4-2で逆転勝ちし、初出場初優勝を飾った。 【写真】お相手がJ1選手だったと話題に…元アイドルの女優が2ショットで結婚報告 試合は2年ぶりの関東制覇を狙う明秀日立が、入り良く試合をスタート。CB菅野一葵(3年)が球際の強さを発揮するなど、マイボールの時間を増やす。そして、CB久保遼真(2年)やMF阿部巧実(3年)を軸にボールを前進させた。 そして15分、復調してきた10番MF竹花龍生主将(3年)が斜めのスルーパス。これでFW保科愛斗(3年)が右中間を抜け出し、右足で先制ゴールを流し込んだ。 大成の豊島裕介監督は「(相手の力強さやトランジションの速さを共有していたが、)最初、明秀さんの勢いに日和ったので。 そこはやっぱり課題」と指摘する。だが、21分、MF伊佐地晴希(3年)の絶妙なパスでFW伊藤雄淳(3年)が左サイドを抜け出す。そして、ラストパスをFW坂本青輝(3年)が左足で決めて同点に追いついた。 大成は、活動量の多い右SH稲荷啓太(3年)と左SH水谷良吾(2年)の絞り込みが失点後から効果。また、180cmの司令塔・伊佐地が相手の注目エースMF竹花との攻防で競り勝って見せるなど守備でも存在感を放つ。 豊島監督が「1人1人の距離感。コンパクトっていうのはやっぱりチームの掲げてるもので、ずっと言っているものだし、3日間通してそれができたかなとは思います」と評したように、この日も大成は距離感の良さが光った。前線で献身的な動きを続けた伊藤や、出足の良さやボールに係わる動きの光る10番MF川村歩夢(3年)を筆頭に運動量を増やして相手にしつこくプレス。各選手のサポートの意識も高く、前半半ば以降、特に後半はこぼれ球がことごとく大成サイドに転がっていた。 ただし、明秀日立もゴール前で堅い。前半27分には、GK重松陽(3年)が大成MF水谷のカットインシュートをセーブ。後半7分には大成右SB高倉崇太(3年)のクロスから坂本に決定的なヘッドを打たれたが、これも重松が反応した。 だが、萬場努監督が「(相手のひたむきさや特長を出される中、)修正がなかなかきかず、ちょっとメンタル的にも上手く変えられなかった」と振り返ったように、悪い流れを変えられれず、勝ち越し点を許してしまう。 後半10分、大成はこの日、運ぶドリブル、正確なクロスと印象的な動きを続けた高倉がゴールライン際で身体を投げ出してボールを繋ぐ。これを受けた坂本が、DFを背負った状態からゴール側へターンして右足シュート。クロスを警戒する相手の意表を突いた一撃がファーポストを叩き、ゴールラインを越えた。 逆転。その後も大成は止まらない。17分にも、伊藤のスルーパスが右中間の稲荷へ通る。稲荷は絶妙なファーストタッチから右足シュートを決め、3-1とした。明秀日立も交代出場のFW鈴木優斗(2年)の落としから保科が右足シュートを放つなど、1点を取り返しに行く。だが、大成は注目CB小池汐生主将(3年)を中心にCB高橋佑弥(2年)、右SB高倉、左SB秋間龍矢(3年)の4バックがバランス良く守り、GK鈴木稜人(2年)を含めて守備対応が安定していた。 30分、大成は稲荷からのパスを左中間で受けた水谷が右足を振り抜く。ファーのネットへファインショットが突き刺さり、4-1。明秀日立もハードワークを続けていたFW柴田健成(3年)が左足シュートをねじ込み、勝利への執念を示す。だが、大成は小池が個の力で相手の攻撃を弾き返すなど、2点差のまま試合終了。雨も降る中で応援してくれた選手、スタッフと一緒に関東制覇を喜んだ。 大成の豊島監督は、帝京高(東京)MFとして98年の関東高校大会制覇。選手、監督としての関東大会優勝について、「同じ景色を選手と分かち合えたっていうのは、ほんとに指導者として嬉しく思います。ほんとにスタッフ1人でも欠けてたらやっぱこの結果はないし、今日の応援も1人でも欠けてたらやっぱできないチームっていうのもみんな思っているので、ほんとにもう全員に感謝をしたいなっていう風に思います」と語る。 そして、「ミーティングを自分たちでしてるのをちょっと黙って聞いてたら、『満足するのやめよう』っていうのを常に選手の中で言っていて、やっぱり何か結果が出た時に人は満足しちゃう。でも、(伊藤らが)『上には上がいる』、『もう絶対に満足しないチームを今年は作ろう』と言ってくれてたので、そういった部分では、私が今思ってることを選手も理解してくれてんじゃないかなと思います」と頷いた。 チームの目標は東京3冠、そしてT2(東京都2部)リーグ優勝、T1リーグ昇格だ。小池は「今1個タイトル取ったんですけど、あとインハイ、選手権(での優勝)と、T1に戻さなきゃいけない。全部取って、“最強の代”を目指したいと思います」。新鋭・大成の歴史を変える関東大会初優勝。だが、現状に満足せずに努力を重ね、インターハイ東京都予選制覇に挑戦する。