昆虫の専門家に教えてもらおう! 蝶たちとの上手な付き合い方とは
時間帯や場所によってざまざまな蝶に出会える
いろんなチョウに出会う秘訣はなんでしょうか。 「滝道や周辺の遊歩道を歩くだけでも季節ごとにいろいろなチョウの姿を観察することができます。種類によって、飛ぶ高さや好みの明るさ、時間帯があるので、散策する時間を変えていろんな位置を見渡しながら歩いてみてください。見通しのいいピークや展望台などがあれば木々の上を飛ぶチョウの姿も観察できるかもしれません。 チョウにはそれぞれに適した環境があります。ヤマトシジミやアゲハ(ナミアゲハ)のように、街中でも棲むことのできるチョウもいれば、オオムラサキのように里山がなければ棲めないようなチョウもいます。また、アサギマダラのように、季節によってみられる場所の異なるチョウもいます。いろんな場所へ、いろんな季節に出かけてみてください」(清水副館長)
幼虫を見つけたければ幼虫の食べ物を探す!?
チョウになる前の幼虫を見つけるにはどうすればいいですか? 「チョウの幼虫は、その種ごとに決まった植物を食べます。その植物を探すと、見つかる確率が格段に上がるので、植物の知識も身につけるといいですね。初めての場所では、ゆっくり歩きながら食草となる植物がないか探してみてください。食草が見つかったら、葉っぱのかじり跡や、フンなどの手がかりを目印に探すといいでしょう」(清水副館長)
蝶を飼育するときは餌のことも考え慎重に
チョウの幼虫を飼育できますか? 幼虫を見つけたら、飼ってみてもいいのでしょうか。さなぎになって、やがて羽化するところを見てみたい……。 「幼虫のエサとなる食草が無理なく用意できるかをまず考えてみてください。自宅周辺でその植物が手に入らない場合には、幼虫と一緒に食草も持ち帰ることになりますが、昆虫はもちろん、植物の採取が禁止された場所でないことを確認したうえで、必要最低限だけ採取するようにしてくださいね」(清水副館長)
放蝶園での楽しみ方とは
昆虫館のハイライト、放蝶園の楽しみ方について教えてください。 「野外ではなかなか蝶に近づけないと思いますので、行動観察をするのにうってつけです。例えば、花の蜜を吸う様子を観察するだけでもいろんな発見があると思います。好きな花や好きな色、落ち着いて蜜を吸うものもいれば、せわしなく飛び回りながらのもの、蜜を吸う口吻の長さも違います。なかには花には全く来ないものなど、種ごとに特徴があるので、じっくり観察してみると楽しいですよ」(清水副館長) 自然の中で舞い飛ぶチョウや幼虫を探しながら歩くのはとても楽しそう。でも、天気が悪い梅雨時や、気候条件がきびしい季節には、昆虫館の存在はありがたいですね。昆虫館でいろいろ学んでから、野外へ出かけるというのもいいかもしれません。
根岸真理