「夏の甲子園」スカウト陣の評価を急上昇させた“3選手の実名”
今年の夏の甲子園は、京都国際が関東第一を2対1(延長10回タイブレーク)で破り、初優勝を飾った。高校生のドラフト候補には、最後の大きなアピールの場となった今大会。どんな選手がスカウト陣に評価されたのだろうか。【西尾典文/野球ライター】 【写真を見る】「小芝風花」16歳当時の笑顔が初々しすぎる 歴代「センバツ応援イメージキャラクター」の爽やかな笑顔 ***
大会前は有力なドラフト候補が少ないと言われていたが
上位指名の可能性が高いのは、報徳学園の最速151キロ右腕・今朝丸裕喜を筆頭に、東海大相模の198cm左腕・藤田琉生、花咲徳栄の大型ショート・石塚裕惺、健大高崎の強肩捕手・箱山遥人だ。 報徳学園と花咲徳栄は初戦で、健大高崎は2回戦で敗れたが、今朝丸と石塚、箱山は、それぞれの持ち味を発揮して、高い評価は変わらない。藤田は、先発でフル回転。チームを準々決勝進出に導き、スカウト陣の評価を上げたといえるだろう。 大会前には、この4人を除いて有力候補が少ないと言われていたが、スカウト陣の評価を急上昇させた3人の選手がいる。
「映像で見るより、いい選手」
1人目は、早稲田実のショート、宇野真仁朗だ。初戦の鳴門渦潮戦、第1打席にいきなりレフト前へ弾き返すと、一気に加速して二塁を陥れる好走塁を見せた(記録はツーベース)。二死満塁で迎えた続く第2打席は、レフトフェンス直撃の3点タイムリーツーベース、第5打席ではレフト前ヒットと、3安打3打点1盗塁の活躍を見せた。 宇野が評価される大きなポイントは、今春から木製バットを使用していること。木製バットは、金属バットに比べて芯が狭く、強い打球を放つには、高い技術が必要だ。 高卒のプロ選手は、入団後に木製バットにうまく対応できずに苦しむケースがあるが、木製バットを使いこなす宇野は、そのリスクが低い。宇野を視察したセ・リーグ球団のスカウト幹部は、以下のように話す。 「現地で、宇野君のプレーは初めて見ましたが、映像で見るより、いい選手ですね。担当スカウトによると、守備に課題があると報告を受けていましたが、内野手としての動きは、全く悪くありません。盗塁のスタートもよかった。守備も走塁も判断がよく、高い野球センスを感じますね」 2回戦と3回戦ではノーヒットに終わり、大会を通じての成績はもうひとつだったものの、多くのスカウトが視察した初戦でアピールに成功したことは、大きなプラス材料だ。 3回戦敗退後、「(今後の進路は)まだ決めていない。(和泉実)監督と話しながら決めたい」と語った宇野。現時点で進路は不透明だが、プロ志望届を提出すれば、高い順位で指名される可能性が高そうだ。