「獅子」と書いてレオと読む 最速146キロ、プロ注目右腕が「二刀流」で狙う35年ぶりの夏【高校野球福岡大会29日開幕】
第106回全国高校野球選手権福岡大会が29日に開幕する。優勝候補の一角に挙げられる福岡大大濠のエース柴田獅子(れお・3年)は最速146キロを誇るプロ注目の大型右腕。打撃でも中軸を任され投打の「二刀流」で35年ぶりの〝夏の壁〟を破る。 ■【写真】力強い柴田のフォームを正面から 夏の大会開幕1週間前、開幕に備えた最後の練習試合で先発した柴田は下関国際(山口)を相手に5回を投げ無失点に抑えた。「雨の予報だったので前の日にけっこうきつめにトレーニングをしてしまった。体が重くて万全の投球ができませんでした」。それでも3球団のスカウトが見守る前で最速145キロをマーク。「疲れている状態で投球できたのは夏に向けて良い経験になりました」と前向きに捉えた。
186センチ、冬の練習で一気に球速アップ
186センチ、85キロと恵まれた体格から投げる速球はこの春146キロを記録した。昨秋の自己最速は139キロだった。140キロの大台を超えることを目標に、冬の練習では投球よりも体の使い方を徹底して練習した。足にゴムを巻いて体を動かしたり、やり投げの動作で投げるジャベリックスローを取り入れたりと体の動きをしみこませた。「下半身が動かせるようになって上半身との連動性が上がった。冬の練習の成果が出たと思います」。平均球速も上がり、夏に向けては緩急の使い方を練習している。「1イニングを3球で終わらせたい」と打たせてとる投球を理想に挙げる。 プロのスカウトが評価するのは投球だけではない。中軸に座る勝負強い打撃もまた柴田の大きな魅力だ。通算本塁打は17本。そのうち7本は低反発バットに切り替わった春から積み上げた。「低反発でも打つためバッティング理論を勉強しました」。バットの出し方や軌道インパクトなどはメジャーリーグの打者を見て研究。「メジャーリーグの選手の打ち方が一番理論に合っていた。秋までは逆方向に飛ばなかったけど今は逆方向にも飛ぶようになりました」と研究の成果が出て打撃面でも大きく成長。大事な場面で長打が出るようになった。
「舜平大さんも…」
浜地真澄(阪神)や山下舜平大(オリックス)らプロで活躍する福岡大大濠OBも多いが「入学するまで名前も全然知らなくて、舜平大さんも入学してから知りました」と〝大物ぶり〟を発揮。その柴田の夏の目標は最速150キロと高校通算20号を突破することと、偉大な先輩たちもなし得なかった35年ぶりの夏の甲子園出場だ。「長い間出ていない夏の甲子園出場を自分たちの代でやり遂げたい。二刀流で頑張りたいです」。西武ファンの祖父が名付けたという「百獣の王」の名前を持つ右腕が、例年以上に激戦が予想される福岡大会で頂点を目指す。 (前田泰子)
西日本新聞社