「長く、大切に」思考は若者にも 共感集めるフェラガモの職人技とクリエーション 伝統と革新
1927年にイタリア・フィレンツェで創業した高級ブランド「フェラガモ」。伝統の職人技とデザイン、上質な素材を融合させ、シューズやバッグなどの革製品を中心に世界的な支持を集める。国内59店を展開する日本事業を率いるフェラガモ・ジャパン代表取締役社長の小田切賢太郎さんは、他のアパレルブランドとは一線を画す魅力を語る。 「創業者のサルヴァトーレ・フェラガモはデザイナーであり、靴職人でした。だから、『メード・イン・イタリー』の技術や品質の高さを象徴し、発展させてきた先駆者の自負があります。いまも主な商品を自社工場でつくるマニュファクチャラー(生産者)です」 1世紀近く続く歴史のなかで、ワイドなリボンが目を引くシューズ「ヴァラ」など名作モデルが誕生。ラグジュアリーと呼ばれる高級ブランド業界で確固たる地位を築き、世代を超えて愛されている。 「『一生モノ』『もったいない』という言葉が象徴する日本人の精神は、高品質の商品を届ける企業姿勢と合致します。その価値が見直されて、若い世代にもラグジュアリーブランドを長く、大切に使う動きが広がっています」 ■継承された職人技が生む変わらない価値を サステナビリティー(持続可能性)に敏感な消費者が増え、ファッション産業は変革を迫られている。フェラガモは2017年、「サステナビリティ・プラン」を導入。毎年目標を見直しながら、プラスチック製パッケージのリサイクル素材への移行などを進める。 何より持続的であり続けるのは職人技だ。「フェラガモの特徴は産業や技術のサステナビリティー。多くの職人を抱えているので、早くから熟練技の継承に取り組んできました」 販売が中心の国内では、ファッション業界に携わって培った自らの経験を大学や専門学校で伝え、ときには中高生にも仕事の魅力を説き、後進の育成に尽力する。 「ラグジュアリーブランドは英語が必須などと思われていますが、そんなことはありません。職種も販売からマーケティング、売り場づくり、人事、経理まで豊富です。若い世代にいろいろな可能性を示していきたいと思います」 ■女性リーダーの大きな存在