尾道市の女性にネット殺害予告「布団で巻いて、アンカー着けて海に…」 被害女性「心身が疲弊し、外出が怖くなった」 男に罰金命令
広島県尾道市内の女性に対しインターネット上で殺害予告などをしたとして、尾道区検が昨年12月、同市内の男性を脅迫罪で略式起訴し、尾道簡裁が罰金10万円の略式命令を出していたことが8日、分かった。 【画像】悪質な投稿のスクショを見ながら被害を振り返る女性 尾道署によると、男性は2023年4月下旬から5月中旬までの間、ネットの掲示板に「布団で巻いて、アンカーを着けて、備後灘に放り出せ」などと女性に危害や性的暴行を加えることをうかがわせる文言をスマートフォンで書き込み、脅迫したという。昨年5月に女性の告訴を受理し、8月に書類送検した。 同区検は起訴内容などの詳細を明らかにしていないが、投稿の一部が脅迫に当たると判断したとみられる。同簡裁は12月24日に略式命令を出した。男性は書類送検容疑を認めていたという。
被害女性、再発防止訴え
インターネット掲示板などを悪用した殺害予告や誹謗中傷が各地で後を絶たない中、広島県東部でも投稿者に刑事罰が科された。被害女性は「心身が疲弊して外出が怖くなった」と振り返り、再発防止を訴える。 女性によると、脅迫罪に当たると考えられる投稿の確認は6件。交流サイト(SNS)で地域情報を発信し、これまでも容姿への中傷などを目にすることはあったが、今回の衝撃は大きかったという。 恐怖と不安に襲われて動悸が激しくなり、体が震えた。十分に眠れず、1人で外出できなくなった。周囲に精神科の受診を勧められても「その行動力もなくなっていた」と語る。 弁護士に相談してプロバイダーに情報開示を請求し、昨年1月に投稿者の名前や住所を特定。弁護士を通じて交渉する中で男性側から示談を求められたが応じず、告訴に踏み切った。 罰金10万円の量刑について「これまでの労力や弁護士の費用を考えると軽さに驚いた。今の法律はネット被害に甘いのではないか」と憤る。被害に苦しんでいるのは自分だけではないとして「投稿者は悪いことをしたと自覚してほしい。脅迫罪になることが広まって、次の被害の抑止につながれば」と願う。
中国新聞社