【解説】“103万円の壁”議論本格化…極秘の重要会合「インナー」とは 事実上決定権持つとされる9人の非公式幹部会合…メンバーに“コバホーク”や小渕優子議員ら
103万円の壁の引き上げ幅に関する議論が本格化する。25日に自民党税調総会が開始され、非公開の会合で税制改革の具体案が検討される。通常、引き上げ幅は12月中旬頃に決定する予定だが、今回は国民民主党の意見を反映させるため、決定過程が変化する可能性もある。 【画像】非公開の幹部会合「インナー」がかつて行われていた場所とは?
重鎮議員など9人で構成…非公開会合で議論
「103万円の壁」の具体的な議論が、25日から本格化する。焦点となる引き上げ幅は、いつ、どんな形で決まるのか。フジテレビ・智田裕一解説副委員長が解説する。 木村拓也キャスター: 日程として決まっているのは、25日に自民党の税調総会が始まっていくということです。一連の流れで、我々の減税や増税、諸々を含めての税に関してのことがほぼ全て決まってくると言っても過言ではありません。中身で言うと、「インナー」という非公開のものと、小委員会という公開のものを繰り返しながら決まっていくということです。 青井実キャスター: 公開しなかったり、公開したりしながらを繰り返すわけですが、そもそも非公開の「インナー」というのはどのようなものなのでしょうか。 木村キャスター: まず、税調「インナー」が、どんなメンバーで行われているのかというと、税制に強い閣僚経験者、重鎮議員など9人で構成されている非公式の幹部会合です。 利害関係がある関係者との調整も必要になってくるという中で、政治主導で行っていくんだと方向性を決めていくので、事実上の決定権を持つ9人という風に言われています。今回のメンバーで言うと、総裁選にも立候補した元財務官僚の小林鷹之議員であったり、元経済産業相で、税にも非常に強い小渕優子議員などが名を連ねています。 青井キャスター: このメンバーはどう選ばれるかとか、どんな話をするのか、どれだけ重要なのか知りたいです。 智田裕一・解説副委員長: このインナーでは、その時の目玉になる税制を話していきます。これまでですと住宅ローン減税とか、自動車の税金とか、あとサラリーマンの必要経費とか、密接に生活に関わるものが話し合われるということです。このインナーで合意したのが決定のたたき台になるということで、非常に重要です。メンバーは宮沢税調会長を中心に、税金に詳しい人を中心に選ばれています。 青井キャスター: でも、非公式なんですね。 木村キャスター: 非公式で、さらに非公開となっています。開催場所は、現在、主に自民党で行われているそうですが、以前は外で行われていて、場所や時間など取材記者も分からなかったようです。かつては記者にばれないように場所もいろいろあって、都内の高級ホテルの一室で行われてロビーに記者が殺到したり、国会図書館の一室で行われたりと、場所も分からなかったことがあったそうです。 遠藤玲子キャスター: 記者は、必死にどこだろうと探したと思うのですが、智田さんは取材されたことはありますか? 智田裕一・解説副委員長: 部屋に近づくためにホテルの隅から隅まで上がったり、国会図書館を取材するために入館証を作ったり、いろいろやりました。大人数でやる会合もインナーの後にあるんですが、その内容を聞くために、壁に耳も3時間つけていたこともありました。 青井キャスター: なんで、そこまで隠れなきゃいけないんですか? 智田裕一・解説副委員長: 重要な事柄とはいえ、決定までいっていない途中段階の話ですよね。しかも国民生活に密接に関わるだけに、誰が何%が良いとか、いくらが良いというのが明るみになると、意見が出にくいというのがあります。ただ、議論のたたき台をこの少人数の密室で決めるのは、問題だという指摘もあります。 SPキャスター 中村竜太郎さん: なぜ非公開でやるのかやはり疑問がありますが、より自由な意見が出やすいということを考えたら、そういうこともあるんだろうなという風に思います。ただ、どういうプロセスで決められているかということについては、国民の一人としてはとても知りたいので、議事録とかを直後に公開しなくてもいいですが、何年後かに見られるような形で残してほしいなと思いますね。