劇団『ヨーロッパ企画』 上田誠が明かす8年ぶりに再演する理由 初出演の板尾創路が語る劇団の魅力とは
■板尾さんへ初オファー 上田「告白する前にちょっと探る感じ」
――板尾さんは、今回が『ヨーロッパ企画』の舞台には初出演ということで、上田さんとはどのように知り合ったのですか。 板尾:最初は(2006年に)下北沢の劇場の『ザ・スズナリ』ってところの公演を関係者の人に勧められて、「ヨーロッパ企画という劇団のお芝居が面白いから行きませんか」と言われて。名前は知っていたんですけど、お芝居は見たことなくて。すごく面白かったんです。予想を裏切るようなお芝居で。こんないい意味で何かアホなことをやってる若い劇団の人たちがいるんだと思って、ちょっと感動したというか。すごく残っていて。 上田:僕らもわりとのんびりしているんで、板尾さんとも知り合わせてもらってから、本当にあまり重なるタイミングは意外となくて。子供の頃からずっと板尾さんのことは見ていましたし、お会いできてからも、もちろん一緒にご一緒したいなって思っていたんですけど、それが本当にもう機がやってきたというか。去年対談させてもらう機会があって、その時に「あ、今かもしれない」と思ってオファーしました。 ――板尾さんにオファーする時は緊張されましたか。 上田:緊張しましたけど、恋愛でいうと告白する前にちょっと探る感じあるじゃないですか。インタビューの間に、わりとそういう話ができたんですよ。「本公演とかって、もしね、何かご一緒できたら」みたいな。インタビューの場を利用してちょっと探らせてもらったりして、何か悪い感触じゃなかった気がしたので、思い切ってオファーしました。
■上田の演劇作りに影響する板尾の言葉
――『ヨーロッパ企画』は舞台の中で笑いの要素も多くありますが、板尾さんから見ていかがですか。 板尾:その時だけいいギャグの応酬ではなくて、上田君の脚本ってやっぱりちゃんと物語、ストーリーにのっとった笑いをところどころ仕掛けていってるんで、それをみんな回収しているというか。だから別に面白いことを言ってるわけじゃないんですよ。当たり前の指摘をしているだけなんですけど、それでちゃんと笑いが取れてるっていう。だからすごくそういうところの方がやっぱり笑いって大きいんですよね。客は流れを知ってるから、それを言うだけで面白いっていうか。ストーリーで笑いを取れるっていうのがこの劇団のすごいところじゃないかなって思いますけどね。 上田:前にインタビューで、板尾さんが若手芸人さんの話されている時、ずっと昔ですけど、わりと若手芸人さんによってはボケを間違うだけの人もいれば、ちゃんとキャラクターに沿ってやる人もいて、やっぱり間違うだけではボケにならないんだよねっていうのを板尾さんがインタビューでおっしゃってたんですよ。それは結構残ってて。人間的な何か必然というか、それが乗っかってて。でも、そいつ自身がもう変だからずっと見ているだけで、その人自身が喜劇的に見えるとか。そういうのがやっぱりいいなって思います。