【日本市況】円上昇、首相の発言修正で利上げ観測復活-中長期債安い
(ブルームバーグ): 4日の日本市場では円相場が上昇。石破茂首相が日本銀行の追加利上げをけん制する発言を修正したことで利上げ観測が回復、円が買い戻された。債券は中長期債中心に下落、株式は上昇した。
日銀総裁の時間的余裕あるとの認識を念頭-石破首相が発言を修正
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストはリポートで、首相は日銀に政治的圧力をかけたとの批判を回避する姿勢を見せたと指摘。日銀が利上げのタイミングをうかがう姿勢に変化はなさそうだとし、12月にも追加利上げの可能性があり円高に留意とした。
市場の注目は日本時間今晩に発表される米国の雇用統計に集まっている。後藤氏は、米利下げペースを占う上で失業率の上昇が回避できるかが重要だとみる。小幅でも上昇した場合、11月50ベーシスポイント(bp)利下げへの思惑がくすぶる公算が大きいとした半面、回避されれば10月中のドル・円は高値圏で推移しやすいとの見方を示した。
為替
円相場は一時1ドル=145円台後半まで上昇した。石破首相が金融政策に関する自身の発言を修正したことから、円が買い戻された。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは「米雇用統計を前にした利益確定など持ち高調整による円買いが主導」と説明。石破首相の発言修正に関しては「円金利の低下余地がないにもかかわらず、円が売られ過ぎたことで持ち高調整も出やすい」と語った。
債券
債券相場は中長期債が下落。米国で堅調な経済指標や原油高を背景に長期金利が上昇したことを受けて、売りが優勢だった。石破首相が日銀の追加利上げをけん制する発言を修正したことも相場の重しになった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、首相の発言修正が巻き戻しの債券売りとして影響している可能性がある半面、「金利市場は追加利上げの織り込み後退が進んでいるため、反応しづらい面もある」と話した。