米社債スプレッド、25年は拡大へ 次期政権の政策の不安定性で
Matt Tracy [23日 ロイター] - 投資家やストラテジストは、2025年に米社債のスプレッドが拡大すると予想している。トランプ米次期政権の改革案がインフレを悪化させ、米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースが鈍ることで、ボラティリティー(不安定性)が高まる可能性があるためだ。 社債のスプレッドは先週、FRBの前回連邦公開市場委員会(FOMC)後に拡大した。FRBは25ベーシスポイント(bp)の利下げを決めたものの、パウエル議長が高止まりしているインフレ率の鈍化に進展が見られない限り、さらなる利下げには慎重な姿勢を示した。 FRBがタカ派的な姿勢を示したことで国債利回りが上昇し、社債のスプレッドが拡大した。ストラテジストは今年のスプレッドが過去数十年で最もタイトな水準に押し上げた社債の需要が緩やかになるとみており、スプレッドへの圧力が続くと予想している。 BMOのクレジットストラテジスト、ダニエル・クライター氏は「金利が高止まりすると予想していることから、2025年の需要はいくらか緩やかになると予想している」との見方を表明。今月20日に82bpだった投資適格債のスプレッドが、25年第1・四半期に70bpまで低下した後、25年末には105bpまで上昇してピークに達すると予想する。 バロー・ハンリーのポートフォリオマネジャー、ニック・ロージー氏は「今公表されている政策の多くはインフレを引き起こすか、インフレをもたらす可能性があると見込まれている。明らかにそちらの方向に向かうだろう」と指摘した。 次期政権の政策が市場に与える影響が不確実なのを背景に、多くの企業が社債発行を25年第1・四半期に前倒しすることが予想されている。 一部のストラテジストは、25年1月の投資適格債発行額が1950億―2000億ドルと月間で過去最高となり、これまで最高だった24年1月の1956億ドルを上回ると見込んでいる。 あるストラテジストは、25年1月の投機的等級(ジャンク)債の発行額は160億―300億ドルの範囲になると予想。JPモルガンのデータによると、24年1月の発行額は280億ドル、23年1月は200億ドルだった。