女子フィギュア平昌五輪代表レースは復活・宮原と新鋭・樋口がリード
NHK杯では、怪我をしていた左足の影響からか、左足のインサイドで踏み切る3回転サルコーを跳べなかったが、今回はミスなく成功した。 中庭氏は「怪我から復活どころか、怪我する前よりも進化した部分もあります」と評価した。 「宮原さんの強みは、ひとつひとつのエレメンツを丁寧に正確にしっかりとできること。スピン、ステップは、レベル4の評価を受けましたが、スピンの確実性は、フィギュアを志す選手がお手本とすべきものでした。緊張する試合の中では若干の狂いが出てくるものですが、宮原さんらしさを完全に取り戻しました」 特に中庭氏が進化に注目したのは、3回転ルッツ+3回転トゥループ、2回転アクセル+3回転トゥーループという3回転を2回こなすコンビネーションジャンプの完成度の高さだ。 怪我する前も連続ジャンプでは、セカンドジャンプのトゥループが回転不足と判定されることが目立ったが、今回のスケート・アメリカでは、すべてがクリアと判定された。 「ファーストジャンプのルッツの入りに若干の不安は残っていますが、セカンドジャンプのトゥループの回転が非常にクリアでした。トゥの踏み切りとタイミングにまったく力みがなくスムーズでした。NHK杯では、ブランクの影響でフリーの後半にミスが目立ちました。怪我をしていた左足の使い方も気になっていましたが、今回は、その部分がしっかりと修正され、後半のスタミナ不足も露呈しませんでした」 宮原は奇跡とも言える復活ストーリーで五輪のシーズンに間に合わせてきた。おそらく五輪代表レースの一番後ろから走ってきた宮原が、今、樋口と共に肩を並べて先頭へ飛びだして疾走している状況だ。 だが、もしメドベージェワの欠場でGPファイナル出場がかなった場合、12月7日の開幕まで中1週間。さらに五輪代表選考のクライマックスである全日本選手権までには、中2週間しかない。ここから故障明けの肉体にかかってくる疲労の蓄積は想像を絶する。 特に女子の場合、その過酷な練習量と競技での負荷に肉体が耐え切れず故障する選手が目立つ。平昌五輪の金メダルの大本命であるメドベージェワに加えて、今大会でもアシュリー・ワグナー(26、アメリカ)が右足首の故障でフリーの演技途中に棄権した。 「復活を遂げた宮原さんのここからの不安はそこでしょう。怪我という古傷がある状況下で、このスケジュールをいかに乗り越えるか。コンディションの維持も求められます、しかし今の宮原さんは、試合をすること自体に喜びや楽しみを感じているようです。試合をする度に、さらに磨きがかかる方に期待をしたいですね」と中庭氏。2枠しかない平昌五輪代表の座を巡る勝負は、いよいよ佳境を迎える。