ロシアのウクライナ侵攻、鈴木宗男氏が唱える「直ちに停戦」は的外れなのか? グローバルサウスは「交渉を」、ウクライナは勝てないとの見方も
ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、国内で日本維新の会の鈴木宗男参院議員の発言が波紋を呼んでいる。鈴木氏は昨年2月の侵攻以来、メディアなどを通じ侵攻はウクライナ側にも非があるとした上で即時停戦を訴える発言を繰り返し行っている。 ロシア軍の完全かつ無条件の撤退を求める日本政府の立場と大きく異なっており、一部でロシア寄り過ぎるとの批判も出ている。隣国を侵略したロシア軍の撤退が第一で、停戦はその後の話だとして、鈴木氏の発言は的外れだとの声もあるが、同氏が訴える「停戦」を巡る世界の動きは現在、どうなっているのだろうか。検証した。(共同通信=太田清) ▽「一にも二にも停戦」 北海道・沖縄開発庁長官、外務政務次官などを務めた鈴木氏は、北方領土問題解決をライフワークと位置づけ、長年、対ロ交渉に携わってきたことはよく知られている。8月4日、都内でインタビューに応じた鈴木氏は現在のウクライナ情勢について、ロシアとウクライナの国力の差は明らかで、「ウクライナは(欧米の支援なしに)自前で戦える状況ではない」として「これ以上の流血を避けるためにも、一にも二にも停戦が必要だ」と訴えた。
鈴木氏は第2次大戦で、ポツダム宣言受諾など終戦の決断を遅らせたことで、広島、長崎への原爆投下などの悲劇を招いた日本を引き合いに、「戦争で最も被害を受ける子供や女性、老人の犠牲をこれ以上増やさないためにも、一刻も早く停戦を実現することが大切だ」と強調。 先進7カ国(G7)議長国で、G7の中で唯一ウクライナに軍事支援を行っていない日本は、その立場を生かし、20カ国・地域(G20)議長国であるインドなどと連携し、ロシア・ウクライナ双方に停戦を働きかけるべきだと主張した。 また、停戦時点では、両国の国境線を画定させる必要はなく「今後の話し合いで決めればよい。交渉では国連、日本、インド、中国なども仲介に加われる」と語った。 ▽グローバルサウスの主張 停戦を巡っては、侵攻直後から、ロシア、ウクライナ両国は隣国ベラルーシやトルコなどで交渉を重ね、侵攻開始前のエリアまでのロシア軍撤退、ウクライナの中立化などの和平原案がまとまったとされた。