議員のなり手、掘り起こそう 長野県飯島町議が初講座
長野県飯島町議会は22日、来年3月の町議選や将来に向けて意欲ある議員のなり手を掘り起こそうと、現役町議自ら講師を務める初の講座「町の議員ってなあに?」を町文化館で開いた。中学生を含む4人が参加。議員としてのやりがいなどに加え、19日の議会採決で決まった議員報酬を説明したが、働き世代の参加者からは「議員の仕事は魅力的だが、この報酬では生活していけない」といった声も聞かれた。 久保島巖議長が議会の仕組みや仕事内容を解説。議員を志したきっかけや、やりがいなど各議員が発表し「若い人たちがもっと町政に関わるべきと感じたから」「自分の考えや提案が実現することに喜びがある」などと紹介した。 さらに年間100~180日に及ぶ出勤日数や選挙にかかる費用、議決により議員報酬が19万8000円から21万5600円に引き上げられることを説明した。 参加者からは、低く抑えられる町村議会の報酬や女性の議会進出に向けた環境整備について質問が上がり、久保島議長は「女性参画推進には産休や託児など課題もある。引き上げたが報酬も高いとは言えず不安定。年金や養育費の手当だけでなく、議員報酬を国が支援するよう要望していくことも必要」と答えた。 この質問をした自営業の40代男性は「議員になるようすすめられているが、話を聞く中で、改めて現時点では厳しいと感じた。やはりネックは報酬。どの自治体も議会は同様の仕事をしているはずなのに、市と町村とでは10万円以上の開きがある」と話し、「かなりの日数で拘束され、今の仕事との兼ね合いも難しい。住民を代表して意見する議員の仕事にやりがいは感じるのだが」と続けた。 今回の講座は、一律8.9%の報酬引き上げを町へ答申した特別職報酬等審議会が「若い人が議員に立候補するためには、報酬の改定も含め議会や議員の魅力を伝える方策を検討していくことが必要」と意見を付帯したことなどを受けて、企画した。 町議選への出馬を検討する70代の男性は「このような取り組みは議員にとってもいい勉強になるのでは」と話し、飯島中3年の生徒は「議会は私たちの身近な問題を話し合っていることを初めて知った。今まで他人事だったが、今後は自分事として関心を寄せたい」と熱心に耳を傾けていた。