松山英樹、プレーオフ初戦を制す 上がり連続バーディでツアー通算10勝目!【コラム】
松山英樹が底力を見せてくれた。米男子ツアーのプレーオフシリーズ初戦、ポイントランク上位70名が出場したフェデックス・セントジュード選手権で、2日目から首位をキープした松山がサンデーバックナインで苦しみながら勝負どころでクラッチパットを決め、今季メジャー2勝のザンダー・シャウフェレ、昨季の年間王者ヴィクトル・ホブランドに2打差をつけツアー通算10勝目を飾った。 最終日を5打リードして迎えたが、決して楽には勝たせてもらえなかった。「リードしているからこそアグレッシブにいきずらかった」と本人がいうように前半7番まではスコアカード通りのプレー。8番と11番でバーディを奪い、依然5打のアドバンテージを守っていた。 しかし12番で1.5メートルのパーパットをはず外した瞬間、それまでのいい流れが一気に暗転。13番ではイヤな距離のパーパットを入れたものの、14番は1打目を池に入れボギー。 15番ではティーショットを右のラフに打ち込み、2打目はグリーン奥の厄介なラフへ。3打目のアプローチはバミューダ芝に阻まれ4打目でようやくグリーンに乗せたものの、およそ5メートルを外してダブルボギー。4ホールで4打落としホブランドに逆転を許した。 チャンスの16番パー5でもバーディを奪えなかったが、そこからが松山の凄いところ。いきなりスイッチが切り替わり、17番で8メートルのバーディチャンスにつけると「これを入れれば楽にいける」と放ったパットがカップに吸い込まれ、この日唯一のガッツポーズが飛び出した。 パーなら優勝という池絡みの難しい18番では池ギリギリのショートサイドを狙うスーパーショット。最後は2メートル弱を決めきりバーディフィニッシュでツアー通算10勝目を挙げた。 マスターズ(2021年)での逃げ切り優勝。今年のジェネシス招待で最終日「62」の猛攻で掴んだ逆転優勝。そして2週間前、パリ五輪での感動の銅メダル。彼が紡いだどの勝利にもドラマがあった。そして今回は追い込まれながらよみがえるパターンで新しい顔を見せてくれた。 大会前、ロンドンで盗難事件に遭遇。パスポートを盗まれたエースキャディの早藤将太氏を欠くなかでの勝利。代役でバックを担いだ田渕大賀キャディは「すべてが凄かったです。非の打ち所のないゴルフ」と感心しきり。 これでポイントランク3位に浮上。残り2戦、年間王者も夢ではない。