「パデル」ってどんなスポーツ? スペイン生まれ、三重で盛り上がり
テニスとスカッシュを合わせたようなスポーツ「パデル」が、三重県で盛り上がりをみせている⁉ 四日市市に10月、県内4カ所目の施設ができ、都道府県別では大阪府と並んで全国最多となった。どんなスポーツなのか。 【写真】パデルのラケットとボール=2024年12月4日午後5時0分、三重県名張市希央台1番町、小西孝司撮影 名張市希央台1番町の「アリエルパデルクラブ」を訪ねた。四方が強化ガラスと金網で囲まれたコートは、テニスコートの半分ほどの長方形(20×10メートル)だ。スカッシュのようにガラスに当たったボールを相手コートに打ち返したり、わざと壁に当てて返したりもできる。始めて数カ月の小学5年の男児は「ゲームよりも、緊張感があって楽しい」と息を弾ませた。 経営者は、スペイン・マジョルカ島出身のアルベルト・フェルナンデスさん(50)。子どもの頃はサッカーに親しんだが、20歳の時、弟に誘われてやってみると「壁に跳ね返るのがおもしろい」とはまった。日本の大学に留学後、大阪の会社に勤務していた時、名張市出身の女性と結婚。パデルを普及させようと2018年にクラブを設立した。 ダブルスで対戦し、点の数え方はテニスと同じだ。ラケットはテニスのものより小さめ。ガットではなく、板状のためどこに当たっても真っすぐに跳ね返る。初心者でも扱いやすそうだ。コートは狭く、動く範囲が少ないため、年齢を問わず高齢者も楽しめる。ラリーが続くので、運動量は多そうだ。壁面も活用するので頭も使う。見ていても楽しい。「簡単です。1~2日基本を習ったらすぐできる」とフェルナンデスさん。 パデルはスペインで1970年代に生まれ、プロもいる。スペインではテニスより競技人口が多いという。「人口の1割ぐらいがプレーし、コートは1万以上。ジダンやクリスティアノ・ロナルドら有名なサッカー選手もリフレッシュで楽しむ。もっと日本でも広がって欲しい」 現在、クラブでは子どもから70代まで約50人が学ぶ。月会費は6600~8600円程度。問い合わせはクラブ(080・1476・3235)へ。 □ 県内には名張市、鈴鹿市、桑名市に加えて、10月に四日市市大治田(おばた)3丁目に「四日市パデル330」が誕生した。四日市市は高校の強豪校があるなどテニスが盛んな街。パデル歴7年のコーチ、高橋祐太さん(37)は「初心者の方がかなり来られている。テニスのトレーニングに採り入れてもらえば相乗効果もある」とPRする。 日本パデル協会(東京)によると、世界の競技人口は3千万人、国内は約4万2千人という。協会の名誉会長は、スペインでパデルに出合い、プレーしているという漫画家の高橋陽一さん。人気漫画「キャプテン翼」の作者だ。 パデル普及をめざす会社を経営する協会の玉井勝善・副会長(49)は「三重県は結果的に多くなったということでしょうが、全国ではまだ増える」。国内のコート数は年内に50カ所を達成する見込みで、協会は30年には1千コート、競技人口100万人を目標にする。パデルは30年のカタール・アジア大会の競技として内定し、32年のブリスベン五輪での採用を目指しているという。(小西孝司)
朝日新聞社