新型ランボルギーニ ウラカン テクニカは、まさにスーパーカーと呼ぶにふさわしい1台だった!
臨戦態勢
加速性はもう最高。ステアリングホイールにそなわるドライブモードセレクターは「ストラーダ(一般道)」「スポーツ」「コルサ(レース)」の3パターン。ふつうならストラーダで十分だけれど、せっかくこのクルマに乗るなら、一般道でもスポーツがよい。 スポーツモードにすると、変速制御がおこなわれ、つねにアクセルペダルの踏み込みともに前に飛び出そうという臨戦態勢に入る。しかも、エンジン回転が2000rpmより落ちることない。ブレーキで減速すると、ボンッボンッとエンジン回転を合わせながら、ギヤが早いスピードで落ちていくのも、ドライバーの気持ちをくすぐる。 小径ステアリングホイールを操作したときの車体の動きは、言うまでもなく、すばやい。スイスイ、あるいはクイクイ、と、小さなカーブだろうが、握る手の持ち替えもほとんどなく、すばやく曲がっていく。 ただし、私が乗ったクルマが履いていたブリヂストンの「ポテンザ」(BSはランボと仲がよい)は、直進状態から切り始めの反応が高すぎる。 とくにフロントタイヤの食いつきがよすぎて、ドライブしている自分の想定よりノーズが内側にぐっと入りこんでいく感覚があるのだ。アクセルペダルをふつうに踏んでいるぶんには、リヤが流れるようなことはないけれど、やや焦る。 ウラカン テクニカは、サーキット用に開発された「STO」と同じパワートレインを使いながら、公道での楽しめるよう開発されたモデルだ。このクルマに毎日乗れたら、たしかに、最高の気分が味わえるだろう。クルマが趣味なら、気持ちを高揚させてくれるスポーツカーこそ最良の相棒だ。 悲しいのは、排ガスやブレーキダストの厳しい規制であるユーロ7の施行が控えており、自然吸気型V10の余命がいくばくもない、と、言われること。気筒数を減らしてプラグイン・ハイブリッド化の道は、ランボルギーニにとっても避けて通れない。その運命を思うと、悲しさもひとしおなのだ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦