新型マツダ3ファストバック レトロスポーツエディションはランチアを彷彿とさせる1台だった!!! 広島発のマニアックなモデルに迫る!!!
「マツダ3」に設定された特別仕様車「レトロスポーツエディション」に今尾直樹が試乗した。マツダらしい個性的な1台に迫る! 【写真を見る】新型マツダ3ファストバック レトロスポーツエディションの特別な内外装(15枚)
懐古趣味ではない
小春日和の某日、マツダ3ファストバックの「レトロスポーツエディション」で、小1時間ほどのドライブを楽しんだ。「レトロスポーツエディション」というのは、マツダが本年9月4日に発表し、同日から注文予約を開始していた特別仕様車で、マツダ3ファストバックのほかに、「CX-30」と「CX-5」にも設定がある。 どのモデルも、国内では昨年末に登場したマツダ「ロードスター」の「ブラウントップ」という特別仕様車に設定された「ジルコンサンドメタリック」がイメージカラーとしてボディ色に採用され、グリルやホイール等は全体を引き締めるブラックに塗られている。 インテリアではブラウンとブラックの2トーンのシート表皮が目に止まる。シートの外枠の部分は「テラコッタ」と呼ばれる茶色の合成皮革で、これがおそらくレトロな雰囲気を醸し出している。背中とお尻が当たる黒い部分はスウェード調の「レガーヌ」という合皮で、この「レガーヌ」がスポーティネスの源泉というか象徴のように思える。でもって、どちらもレザーっぽいので、ゴージャス感と結びついてもいる。 「レトロスポーツエディション」は、「レトロモダンの世界観をテーマにスポーティーさを融合した特別仕様車」というのがマツダの定義で、マツダ3ファストバックそれ自体、1960年代のクーペを思わせるクラシックなデザインではあるものの、日産「Be-1」とかのような懐古趣味ではない。なのに、内外装の色と素材の組み合わせによって、なるほど、レトロモダンでスポーティに見える。ポルシェ「911」の964型を1960~1970年代風に仕立てる米国カリフォルニアのレストアラー、シンガーの色調にも通じるところがある、と、筆者は思う。 あるいは、この艶消し風オリーブグリーン色と素焼きの茶色の組み合わせに特別な力がある、ということか……。着座すると、ダッシュボードの一部に「レガーヌ」が使われ、テラコッタ色のスティッチまで入っていることに気づく。まるでイタリアの高級車みたい。というのは筆者の個人的な感想にすぎず、こんなイタリア車が実在するわけではないけれど、あえて車名をあげると、ランチア「イプシロン」とかでしょうか。