植毛手術の傷で血まみれ… 飛行機から引きずり降ろされて逮捕された男性「血を拭き取るように」の警告に従わず
去る8月19日、マイアミ国際空港(アメリカ)である逮捕劇が起こった。アメリカン航空の機内(離陸前)で乗客2人が乗務員の指示に従わず、飛行機を降りることを拒否したため逮捕されたのだ。 【画像・動画】血まみれの頭部で搭乗しようとした男性 …とここまでは「よくあるタイプの事件」に聞こえる。しかしこのニュースが世界中で報道されたのは、このマグショットが衝撃的だったからだ。 髪の毛の生え際にまっすぐ引かれたラインに沿って血がしみ出ている。この「不自然に血まみれ」の様子から、映画「ハンニバル」の“あのシーン”を思い出した人も多いかもしれない。
機内で騒動が勃発。
逮捕されたのはエウジェニオ・エルネスト・エルナンデス=ガルニエ(27歳)とユスレイディス・ブランカ・ロヨラ(32歳)の2人。ラスベガス在住の夫妻である。 2人は旅行でマイアミを訪れ、帰宅するためにラスベガス行き21時離陸予定のフライトに搭乗した。ほどなくして、周囲の乗客と客室乗務員がエルナンデス=ガルニエの頭から血が出ていることに気付いた。 客室乗務員がエルナンデス=ガルニエに「血を拭き取り、清潔な包帯に交換するように」と伝えた。しかし交換用の包帯をもっていなかった彼と妻ロヨラは、この要求を拒否した。 押し問答をしている内に警察官が到着。彼の健康状態と機内の体液汚染を懸念し、警察は2人に飛行機から降りるよう促した。しかし2人は拒否し続けた。 最後は強制的に機内から降ろされ、「不法侵入」と「暴力を使わずに警官に抵抗した容疑」で即逮捕された。
なぜ血を流していた?
逮捕後、2人は出血の理由を検査するためフロリダ州ジャクソン・ウェスト医療センターに搬送され、その後ターナー・ギルフォード・ナイト矯正センターに拘留された。 エルナンデス=ガルニエはマイアミ滞在中に植毛手術を受けており、まだ傷が癒えていない状態で搭乗したことが判明。通常植毛手術後の回復には2週間ほどかかり、新しい毛髪が生え始めるまでには4カ月ほどの時間を要する。 釈放後、エルナンデス=ガルニエはインタビューに答え、搭乗時に頭部に痛みがあったことを告白している。 しかし彼は「仕事やフライト搭乗等の行動の制限はない」旨を記した医師のレターを持っており、これを理由に「飛行機を降りる必要はない」と思ったと語っている。 こんな大きな騒動になるとは本人も思わなかったはずだ。しかし出血が止まっていない状態での飛行機移動は無謀な行動。海外や旅行先で美容手術を受ける人は多いが、「反面教師」のような事件だったと言えるだろう。
文:宮田華子