青森・八戸市の5歳虐待死、母親認める 冷水浴びせ放置「争わない」 青森地裁初公判
今年1月、青森県八戸市柏崎4丁目の自宅アパートの浴室で、長女=当時(5)=に冷水を浴びせて放置し死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた無職の母親(22)は26日、青森地裁(藏本匡成裁判長)の裁判員裁判初公判で「争いません」と起訴内容を認めた。弁護側は、起訴事実に争いはないが、共犯とされる交際相手の男(32)=同罪で起訴=が犯行を実行し「母親は従属的な立場だった」などと主張、減刑を求めた。争点は量刑。 起訴状などによると、1月7日午後5時すぎ、母親と男は共謀し、自宅で暖房のない浴室に女児を連れて行って冷水を浴びせ、服がぬれた状態のまま約4時間半にわたり放置。同10時50分ごろ、低体温症による急性循環不全で死亡させたとされる。 検察側は冒頭陳述で、昨年11月ごろから男の女児への虐待がエスカレートし、暖房のない浴室で女児に水をかけて放置する「ぬらしせっかん」を繰り返し、母親も黙認していたと説明。事件当日は、女児のお漏らしに怒り犯行に至ったとし、放置している間、母親は携帯ゲームや食事をしていた-と指摘した。 証拠調べでは、倒れている女児を発見した母親が119番通報した音声が法廷に流された。音声では「娘を湯船に漬からせていたら、目を離した隙に溺れた」などと消防職員にうその説明をしていた。 一方弁護側は、昨年12月ごろから、母親も男から暴力を受けており「矛先が自分に向くことを恐れていた」と強調。事件の約3カ月前にはうつ病の診断を受けていたほか、当時は妊娠中で、精神的・体力的に余裕がなく「男の犯行を止めるのが難しい事情があった」とした。 事件を巡っては、虐待通報を受けた八戸児童相談所が母親と男らに指導を行ったが、事件発生前に対応を終結。県は当時の対応が適切だったかを検証している。