出産で脳性まひ 9千万円賠償へ/つがる総合病院
つがる西北五広域連合と青森県五所川原市のつがる総合病院は27日、2017年に同病院で生まれた双子の第2子が、出生時に脳の酸素や血液が不足し脳に障害を引き起こす「低酸素性虚血性脳症」となり、重度の脳性まひが残る医療事故があったと明らかにした。病院側は責任を認め、患者と家族に損害賠償金約9124万円を支払う。同日、市内で開かれた同広域連合定例議会で報告した。 同病院によると、出産前に第2子が逆子などの胎位の時もあったという。帝王切開での出産も検討したが出産直前には頭が下にあることを確認し、正常分娩(ぶんべん)で産むこととした。出産時に第2子を取り出すため人工破水したところ、頭より先にへその緒が出てくる「臍帯(さいたい)脱出」が発生。緊急帝王切開で取り出したが仮死状態で、新生児集中治療室(NICU)のある津軽地方の医療機関に搬送したものの脳性まひが残った。 外部の原因分析委員会や専門医に事故に関する意見を聞いた結果、(1)正常分娩と帝王切開のどちらかを選択してもらう時に各出産方法に伴うリスクなどの説明が不十分(2)胎児の頭が十分固定していなかった可能性を完全に排除できない(3)10分以内に新生児を取り上げる「超緊急帝王切開」の体制が取られておらず重大な障害に至った-との判断を受け、同病院は損害賠償金を支払う方針を決めた。 医療事故を受け、同病院で双子の出産を希望する場合は、帝王切開で対応する方針。 同広域連合と同病院は27日、「患者さまとご家族に大変な苦痛とご負担をおかけし、心より深くおわび申し上げるとともに、今後も病院としてサポートしていきたい」などとするコメントを出した。