弘南鉄道大鰐線廃線へ/27年度末で運行休止
弘南鉄道(本社青森県平川市)は27日、赤字続きの大鰐線(大鰐-中央弘前、13.9キロ)を廃線にする方針を示した。利用客の減少や電気料高騰などで今後も収益改善が見込めないためで、同日に弘前市役所で開かれた弘前圏域8市町村長の非公開会合で方針を説明。沿線の弘前、大鰐の両首長は「やむを得ない」と理解を示し、同線の廃線が事実上決まった。同社は2027年度末で運行を休止し、路線廃止に向けた手続きを進める考え。 会合の出席者によると、市町村側から異論はなかったという。成田敏社長は終了後の取材に「コロナ禍が落ち着いても利用客が戻らなかった。本当に申し訳ない」と険しい表情を見せ、「弘南線(弘前-黒石)に集中し、何とか市民の足を守っていきたい」と述べた。 大鰐線は1970年、弘南鉄道が弘前電気鉄道から経営譲渡を受けた。沿線住民の減少などを受け、ピーク時の74年度に年間約390万人いた利用客は2023年度に27万1777人と約7%にまで減少。経営譲渡以来、赤字が続き、近年は沿線2市町などの財政支援を受けて運行していた。13年には当時の船越弘造社長が廃線方針を示したが、自治体側の要望を受け撤回した。 また、19年4月と23年8月に脱線事故を起こしたほか、同年9月にレール摩耗の見落としが発覚し、弘南線(弘前-黒石)とともに最大約2カ月半運休した。 20年に沿線自治体などが定めた維持活性化基本方針では「23年度末の営業成績で中長期計画に基づく収支改善がなされない場合、支援は25年度までとする」としていたが、23年度の営業損益は1億3068万円の赤字で支援存続の条件を満たせず。桜田宏・弘前市長と山田年伸・大鰐町長は「コロナ禍などで支援の継続判断の前提が変わった」などとして、運行継続に向けて同社にさらなる経営改善策を求めていた。 同社は来春に入学する高校生が卒業するまでの交通手段を確保したい-として27年度末まで運行を続ける意向で、弘前市と大鰐町は26年度以降の財政支援について、本年度末までに決める考え。