都内の駅近1LDKが「7万円台」で格安で募集していた! 入居後に「前の住人が死亡した部屋」だと判明したけど、告知がないのは「違反」じゃないの? 事故物件の注意点を解説
「広くてキレイで便利、しかも家賃も安い」と、気に入って引っ越したマンション。それなのに後になって、近所の人から「その部屋って、前の人が亡くなったところじゃない?」と聞かされたら、困惑する人も多いでしょう。 本記事では、賃貸不動産の「事故物件」について、問題点や家賃相場、告知義務などを紹介します。 ▼町内会費の支払いを拒否したら「今後ゴミを捨てるな」と言われた! 本当に従う必要はあるの?
事故物件とは?
殺人や自殺、火災による死亡など「人が死亡した物件」が、一般に「事故物件」とされます。自然死でも、遺体の発見が遅れたために表面的な清掃だけでなく、除菌・殺菌や脱臭までをおこなう「特殊清掃」が入った場合などは、事故物件として扱われます。 ■事故物件は家賃が安い? 「事故物件は家賃が安い」といわれることがあります。家賃が安い理由には、事故物件には「何となく嫌な感じがする」「なんだかこわい」といったイメージがあることが影響しています。 このような居住するときの心理的な抵抗感を、不動産における「心理的瑕疵(かし)」といいます。心理的瑕疵がある物件は借り手が見つかりづらいため、家賃を下げることが多いのです。 しかし、事故物件といっても、部屋自体は「事故」の後に修繕や清掃がされるため、問題なく居住できます。そのため「家賃が安いなら」と、あえて事故物件を探す人も少なくないようです。 ■事故物件はどのくらい安い? では事故物件は、どのくらい家賃が安いのでしょうか。物件にもよりますが、通常家賃の60~90%ほどが相場のようです。 通常なら家賃15万円のマンションを9万円(60%)で借りられるなら、事故物件であることに目をつぶり、入居したいと思う人もいるでしょう。
事故物件は入居する前に分かる?
以前は、事故物件だと告知するかどうかは、業者によって対応が異なっていました。そのことによるトラブルが多発していたため、2021年1月、国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を発表しました。 このガイドラインには、宅地建物取引業者が借主などに対し、事故物件として告知するか否か、次のような判断基準が記載されています。 ■告知が必要なケース 次の場合は、事故物件であることの告知が必要です。 ●自殺 ●殺人 ●火災による死亡 ●特殊清掃が行われた場合 など 自然死や不慮の死でも、遺体の発見が遅れて特殊清掃が入った場合は、借主に告知しなければなりません。また、死亡が廊下などの共用部分で起きた場合は、その廊下などを使用する借主には、そのことを告知する必要があります。 ■告知しなくてよいケース 人が死亡した物件でも、次の場合は、告知しなくてよいとされています。 ●自然死(老衰、病死など) ●日常生活の中での不慮の死(階段からの転倒、誤嚥(ごえん)など) ●自殺や殺人などの後、おおむね3年が経過した場合 ●特殊清掃が行われた死亡の発覚から、おおむね3年が経過した場合 自殺や殺人があった場合でも、それがとなりの住居や使用しない共用部分で起きた場合は、原則として告知義務がありません。 ただし、告知しなくてよいケースに該当していても、次の場合は告知しなければなりません。 ●借主から質問された場合 ●社会的影響が大きい事件があったなど特段の事情がある場合 ■事故物件は、ずっと家賃が安いまま? 自殺などから3年以内に借りた部屋は事故物件として扱われるため、家賃が安くなっていることがあるでしょう。しかしその後、5年、10年と住み続けても、家賃は安いままなのでしょうか。 貸主や宅地建物取引業者にもよりますが、途中の契約更新時に、家賃が上がるケースもあるようです。事件や事故があっても、時間の経過とともに心理的瑕疵が薄れていくからでしょう。